ハンセン病問題に関する取り組み強化を座喜味市長(左)に要望する知念代表 =宮古島市役所

ハンセン病問題 偏見解消に取り組み強化を要望

 宮古南静園入園者自治会、宮古退所者の会、ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古は10日、市役所でハンセン病問題に関して市に偏見差別の解消に向けた啓発事業や課題提起、市教育委員会に人権学習の取り組み強化などを要望した。このうち介護認定に関しては後遺症である末梢神経麻痺等を考慮した認定について周知を求めた。

 啓発事業ではハンセン病に対する偏見差別の解消に向け、正しい理解と人権啓発への取り組みを強化し、市職員の研修拡充や市民への啓発事業などに積極的に取り組んでほしいと要望。ハンセン病療養所所在自治体協議会に▽後遺症などの治療や介護を安心して受けられる体制に向けた行政や医療・福祉関係者への研修拡充▽地域生活を支える相談・同行・交通支援体制の整備▽ハンセン病回復者ではない配偶者が希望すれば園内施設において夫婦で生活できるようにする―の課題提起を求めた。


 人権学習では生徒への語り部による講話、教員研修、南静園に現存する戦跡の保存と平和学習への積極的な活用、戦争遺跡としての文化財指定などの取り組み強化を要望した。
 同退所者会の知念正勝代表は「1件でも偏見差別があるなら取り除かなければならない。関係団体だけでなく、やはり行政の役割が大きいと思う」と理解と協力を求めた。
 池村源盛副代表は「病気が治って退所しても偏見差別を恐れて地域社会でなかなか胸を張って暮らすことができない。退所者が安心できるように偏見差別を払拭できれば」と訴えた。
 同人権市民ネットワークの亀濱玲子共同代表は、これまで末梢神経麻痺を考慮した介護が認定されなかったが現在の制度でも十分可能とする指摘もあり「自治体への要望は初めて。全国でも先駆的な動きであり検討してほしい」と述べた。
 座喜味一幸市長は「市職員の研修等で理解を深めたい。市の組織の中から行動していきたい」と答えた。大城裕子教育長は「以前は各学校で体験談を話してもらっていたがコロナ禍で思うようにできていない。ハンセン病問題に関してはもっと力を入れて取り組みたい」と話した。
 また同市民ネットワークなどからハンセン病に関する図書も贈呈された。

関連記事一覧