恩納村万座毛のサンゴ礁。採水を行った3地点の1つ
=提供・OIST
海水1リットルでサンゴ判別
沖縄科学技術大学院大学(OIST)はこのほど、表面海水1㍑に含まれる「環境DNA」を分析することで、その海域に生息する造礁サンゴの種類を判別できる遺伝子解析技術を開発したと発表した。高度な専門知識を持つダイバーが潜って目視で観察しなくても、正確で手軽な調査が可能になるとしている。
従来はサンゴの生育状況を調べるために、ダイバーが定期的に潜って観察し変化を記録してきた。しかし、サンゴは異なる種類でも形状や色が似通っていたり、同じ種類でもそれらが異なっていたりするなど、直接観察法は時間がかかるだけでなく、正確に多様性を知るには高度な専門知識が必要だった。
研究チームは海水には周辺に生息する生き物のDNA(環境DNA)が多く含まれていることに注目。1㍑の海水に含まれるわずかなサンゴDNAを、新たに開発した「DNAプライマー」という手法で何倍にも増幅し、サンゴの識別を可能にした。
恩納村近海の3つの異なるサンゴ礁を調査したところ環境DNAは採水地点ごとに異なっており、従来の目視による識別とほとんど差がない精度でサンゴ分布を判別できたという。
世界中のどこでもそれぞれのサンゴ礁にどんなサンゴが存在するか理解でき、多様性維持のために何をすべきか正確に知れるようになることが期待される。