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Steamのゲーム価格、ブラジル・インドで推奨価格より約3割高 筑波大が7375作品を分析

筑波大学の村上智洋氏と吉田光男准教授(計算社会科学)は、世界最大級のPCゲーム配信サービス「Steam」で販売される7375作品の価格を分析し、ゲーム会社が国ごとの価格をどのように設定しているかを調べた。ブラジルやインドでは、運営元Valveが示す地域別の推奨価格を平均で約3割上回る一方、日本や欧州などでは推奨価格に比較的近かった。

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研究成果は2026年8月21日付で国際マーケティング誌「Journal of International Marketing」で公開された(https://doi.org/10.1177/1069031X261480691)。同じデジタル商品でも、世界中で同じ価格戦略が採られているわけではない。

Steamでは、ゲーム会社が米ドルで基準価格を決める際、Valveが各国通貨での推奨価格を提示している。単純な為替換算ではなく、現地の購買力や物価、娯楽への支出なども考慮した価格だ。ただし、推奨価格に従う義務はなく、最終的な販売価格は各社が自由に設定できる。

研究チームは2023年8~9月にSteamから価格情報を収集。十分な数のゲームを販売している268社について、米国、ブラジル、中国、フランス、英国、インド、日本、韓国の8地域を比較した。セール時の割引価格ではなく、通常の販売価格を対象とした。

分析の結果、日本、韓国、英国、フランスでは、実際の価格はValveの推奨価格に比較的近かった。分析対象企業の平均では、日本は推奨価格の約106%、英国は約105%、韓国は約103%だった。

これに対し、ブラジルでは約128%、インドでは約130%と、推奨価格を3割近く上回った。企業による価格設定のばらつきも、この2カ国で大きかった。中国は約111%で、その中間に位置した。

Valveは現地の購買力などを考慮して地域別の価格を推奨しているため、そのまま採用すれば購買力の低い地域では価格が相対的に安くなる。一方、国ごとの価格差が大きくなると、利用地域を偽装して安い国の価格で購入しようとする動きも起こりうる。為替変動によって、現地価格を米ドルなどに換算した際の収益が目減りする可能性もある。

ただし、今回の研究はゲーム会社の社内での意思決定を調べたものではない。ブラジルやインドで価格が高めになる理由を直接突き止めたのではなく、こうした購買力、為替、国境を越えた価格差の利用などが価格設定を考える上で重要になる可能性を示している。

ゲーム会社の価格戦略、4タイプに

さらに研究チームは、268社について国ごとの価格設定の特徴をまとめ、4つのタイプに分類した。

Valveの推奨価格に近い「推奨価格追随型」は54社。推奨価格から多少調整しながらも国ごとの差を抑える「微調整型」は116社だった。一方、ブラジルやインドなどで推奨価格より高く設定する傾向の強い「新興国高価格型」は69社、国やゲームによって価格を大きく変える「高変動型」は29社だった。

世界的に大規模なゲーム企業と関係する販売元19社のうち、11社が「高変動型」に入った。同タイプ29社の37.9%を大手ゲーム企業系列が占めた。ただし、大企業だから複雑な価格設定ができると証明したわけではなく、両者の間にこうした傾向がみられたという結果だ。

吉田准教授は「デジタル商品でも、価格まで世界共通にすればよいとは限りません。今回の分析では、推奨価格に従う企業から、新興国や作品ごとに価格を調整する企業まで複数のパターンが確認されました。どの戦略が最も利益を生むかではなく、企業ごとに異なる価格設定が存在する点が重要です」と話す。

今回の分析はSteamの通常価格だけを扱っており、セールやセット販売、サブスクリプションなどは含まない。販売本数や売上高も分析していないため、4つのタイプのどれが最も収益性に優れているかは分からない。

それでも、世界共通の売り場を提供するデジタルプラットフォームでも、価格設定は単純に世界標準化されていないことが分かる。現地の消費者が買いやすい価格と、為替や国境を越えた購入による収益への影響をどう両立するか。ゲーム会社にとって地域別価格は、単なる為替換算ではなく、世界市場をどう設計するかという経営判断になっている。

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