法令を知らなかった、道徳的にダメなだけかと思っていた…不同意性交の被告人が述べた弁解【裁判傍聴記・後編】
初公判を見ずに偶然傍聴した不同意性交等罪の第2回公判。20歳の被告人は、16歳未満の少女と性交渉し、「真剣に交際していた」「Aさんのことが好きだった」と弁解を続けた。
被害者代理人からの質問により、アプリを登録した日に被害者と知り合い、同日に交際を申し込んでいたことが判明。終盤の被告人質問で被告人の化けの皮は剝がされていく。
アプリで出会った少女に不同意性交「真剣に交際していた」20歳男の“化けの皮”【裁判傍聴記・前編】
代理人「5月21日にアプリに登録して、Aさんと知り合って、交際を申し込んでいますね?それなのに真剣に好きだったんですか?」
被告人「はい。6時間やりとりをしたので」
代理人「Aさんと会おうと思ったのは性行為が出来ると思ったからでは?」
被告人「違います」
代理人「本当に法令を知らなかった?よく芸能人の報道とかありますけど?」
被告人「知りませんでした」
代理人「悪いこととは思っていた?」
被告人「はい」
代理人「それは?」
被告人「若い子と付き合うのは道徳的に悪いのかなとは思っていました」
代理人「今回、Aさんが入院しているのは知ってます?」
被告人「聞いています。申し訳ないと思っています」
代理人「何が申し訳ないと?」
被告人「入院するくらいの事件に発展してしまったことが」
代理人「謝罪文を出そうとはならなかった?」
被告人「なりませんでした」
代理人「500万、ご両親が用意したようですが、どう思います?」
被告人「すごい大きな額だと思います」
代理人「あなたのご両親にも迷惑かけたことはわかってます?」
被告人「はい」
代理人「Aさんのお母さんも色んな気持ちを持って示談に応じたのはわかります?」
被告人「はい」
「道徳的には良くないのかなと…」
被告人は最後まで真剣交際のスタンスを崩さなかった。そんな被告人に裁判官たちから厳しい質問が飛ぶ。
右陪席裁判官「年齢で一定の若い人とそうなっても犯罪にならないと思っていたんですか?」
被告人「はい」
右陪席裁判官「小学生とかでも!?」
被告人「道徳的には良くないのかなと…」
右陪席裁判官「あまりに非常識だと思いませんか?今、認識出来ているかの確認で聞きますけど、何歳未満の人とそういうことになってはいけない?」
被告人「16歳未満の人…」
右陪席裁判官「なんで16歳未満かわかりますか?」
被告人「…まだ未熟だから」
右陪席裁判官「私からは以上です」
裁判長「示談金はもう支払われているのですか?」
被告人「父が払っていると聞いています」
裁判長「警察の調書のことを話していましたけど、逮捕時から弁護士は付いていますよね?」
被告人「はい」
裁判長「さっき、他の裁判官が言っていましたけど、自分が非常識な人間という認識はあります?」
被告人「はい」
裁判長「すぐに『はい』って言われると少し不安になるのですが…何が非常識なのか家で親御さんとも話し合って下さい」
「示談に応じたのは娘の治療費等があったから」
代理人より、Aの母親の意見陳述が読まれる。
「事件当日、友だちと遊びに行くと準備をしている娘を見て違和感を覚えました。娘は起立性障害があり、朝早くに起きているのは珍しかったからです。今日は元気なのかなと思っていました。しかし、今にして思えばその違和感を大事にすればよかったと思います。
娘が出掛けてから、コンビニで偶然、娘と会いました。『友だちは?』と聞くと『遅れるみたいだから待ってる』と答えました。コンビニで別れた後、娘のGPSを確認するとコンビニのままでした。心配になり行ってみると娘の自転車があるだけでした。誘拐されたのではと警察に連絡し、私も車で探し回りました。
その後、警察から娘を保護したと連絡があり、ホッとするも内容を聞いて驚がくしました。被告人は娘を14歳と知って性欲のはけ口にしていたのです。娘は背丈も小さく年齢よりも幼く見えます。レストランに行っても子ども用の食器が出てくることもあります。事件当日、娘は排卵日でした。不安で夜も眠れませんでした。相手の弁護士から示談の話をされましたが、加害者側からの謝罪はなく、誠意を感じませんでした。
結果、妊娠しておらず安心しましたが、娘は入院しました。娘の日常は壊されました。娘が元の生活に戻れるかわからず不安な日々を過ごしています。示談に応じたのは娘の治療費等があったからです。今後、どんなことがあろうと私と娘に絶対に接触しないで下さい」
検察はアプリで知り合ったその日に交際を始め、14歳と知りながら性行為に及んでおり態様は悪質。
年少者に対し性交、口腔性交、拘束具や玩具を使用し、自らの性的欲求を満たすための悪質な犯行であり、Aはその後、入院。母親は被告人に対して厳罰を望んでいる。和解手続きは有利な事情として重視すべきでない。被告人の規範意識は乏しく再犯可能性が高い、として拘禁刑5年を求刑した。
「逮捕されるとわかっていたが私が我慢できなかった」
一方、弁護側は、被告人は真剣交際だった。ホテルに警察官が入ってきた時、Aは「初めてこんなに好きになった人なんです」と述べており、性交はAが積極的に主導している。
警察に「私は首を絞められて手首や足を拘束されてセックスをすることに興奮します。彼氏が私とセックスをしたら逮捕されるとわかっていたが私が我慢できなかった」と述べており、本件はAが主導的に働きかけた。
被告人は20歳になったばかりで最近まで少年であった。前科前歴はなく、優しい人柄。親権者に500万円支払い和解が成立しており、執行猶予付き判決を求める、とした。
裁判長「最後になにか言っておきたいことはありますか?」
被告人「特にございません」
新件(初公判)から傍聴し、事件概要、当事者たちの年齢を知った上で被告人質問を聞いていたならば、みじんも被告人の心情をくみとることなど出来るはずもない。
仮に被告人が本当に「真剣」だったとしても、彼の「真剣」はあまりに浅はかである。
文/田辺朋之 内外タイムス






