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年金運用41兆3000億円の大黒字でも、受給額がすぐに増えないワケ

公的年金(国民年金・厚生年金)の積立金は、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」という厚生労働省所管の独立行政法人が一括して管理・運用を行っている。具体的には、国内債券(25%)、外国債券(25%)、国内株式(25%)、外国株式(25%)という4つの資産に均等に「長期分散投資」している。

そのGPIFは、昨年度の運用実績が41兆3995億円の黒字になったと発表した。国内外の歴史的な株高や円安が収益を押し上げ、収益額は2023年度に次ぐ過去2番目の大きさとなった。黒字は6年連続だ。なお、分散した4つの資産のうち、国内債券だけは長期金利が上昇した影響で赤字だった。

市場での運用を開始したのは2001年度以降だが、累積の収益額は196兆9306億円の黒字で、収益率はプラス4.67%、運用資産の総額は今年3月末時点で293兆6437億円となった。

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さて、41兆円という巨額の黒字が出たからといって、今の高齢者の年金受給額がすぐに増えるわけではない。SNSには「もうかったなら還元してよ」という声もあって、感情的には理解できるが、日本の公的年金にはそうもいかない仕組みがある。

まず、運用益は「今」ではなく「未来」のための貯金であるということ。GPIFが稼いだ運用益は、現在の受給者に配るためのものではなく、将来の現役世代の負担を減らし、100年先まで年金制度を維持するための「積立金」として保管される。

日本の年金は、現役世代が納めた保険料をそのまま現在の高齢者に使う「賦課方式」だ。しかし、少子高齢化で現役世代が減っていくため、不足分を補うためにこの積立金を取り崩して使っていく計画になっている。つまり、今回の黒字は「将来の高齢者にとって年金をもらえる安心感(持続可能性)が高まった」という意味合いになる。

次に、受給額を決める要素には「物価」と「賃金」がある。毎年の年金受給額がいくらになるかは、運用の成績ではなく、「物価」や「現役世代の賃金」がどれくらい上がったか(下がったか)によって決まる。物価や賃金が上がれば、年金額も基本的には増える。物価や賃金が下がれば、年金額も減る。

たとえ運用で大赤字を出した年であっても、物価が急上昇していれば年金額はプラス改定になるはずで、逆に大黒字でもデフレであれば年金額は増えない。

さらに日本には、物価や賃金が上がったとしても、年金の増額幅をあえて少し抑える「マクロ経済スライド」という仕組みもある。少子化で保険料を払う人が減り、高齢化で年金をもらう期間が延びているため、そのバランスをとるために自動的に調整が入る仕組みになっている。そのため、物価が上がって年金が増える局面でも、物価上昇分がそのまま満額増えるわけではない。

今回の41兆円の黒字は、「年金制度が破綻するのでは?」という不安を和らげるセーフティーネットが補強されたと考えるべきだろう。

文/横山渉 内外タイムス

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