フジテレビのガバナンス不全は昔からだが……トラブルだらけの番組黒歴史
フジテレビ系「夫婦別姓刑事」の撮影中、俳優の佐藤二朗と橋本愛との間で発生したトラブル。これが大きく悪化したのは、佐藤と橋本の間に立つべきフジが問題解決できなかったからではないかとの声がSNSには多数ある。佐藤は7日夜に更新した自身のX(旧Twitter)で「フジテレビは、なぜ、そこまで片方だけに寄り添うんでしょうか。残念です」と投稿している。
佐藤二朗を脅したと言われる弁護士の正体は フランス語が流暢な東大卒エリートだった
フジテレビといえば、芸能界を引退した中居正広の女性トラブル問題が記憶に新しいが、同局の問題解決能力の欠如から起きた不祥事やトラブルは数え切れないほどある。
まず、人気番組の“ヤラセ”問題。1998~1999年放送の「愛する二人別れる二人」にヤラセ出演していた女性が自死し、警察の捜査過程で番組制作の問題点が明らかとなった。「ほこ×たて」(2011年放送開始)でもヤラセが発覚し、2013年に終了に追い込まれている。
そして、リアリティー番組「テラスハウス」(2012年放送開始)の出演者が2020年に自死した問題は、番組編集の誇張や出演者同士の対立をあおる演出が原因だったとして、同局の社会的責任を問う大問題に発展した。
テレビ業界でもっとも騒がれた原作者とのトラブルもフジテレビだ。映画やドラマとして大ヒットした「海猿」シリーズは、フジテレビによる深刻な著作権侵害や取材トラブルが原因で打ち切りとなり、原作者である佐藤秀峰氏が自身のXでフジとの絶縁を宣言するに至った。そのため、現在も動画配信サービスなどで視聴することができない状態が続いている。
数年にわたる“韓流ゴリ押し”がフジテレビ低迷のきっかけになったと話す人もいる。スポーツ大会での韓国戦をわざわざ「韓日戦」と呼び、フィギュアスケート中継ではキム・ヨナの表彰式はノーカットなのに、浅田真央など日本人選手の優勝時はカットするなどの編集が続いた。こうした局の姿勢に対し、2000人以上がフジテレビ前に集結する抗議デモまで起きた。
フジのガバナンス不全は、日枝政権が原因
フジテレビで発生した一連の不祥事とそれに伴うガバナンス不全は、40年以上にわたりフジサンケイグループを実質的に支配してきた日枝久氏の経営責任が大きいと指摘されてきた。それは、中居問題に関するフジテレビ自身の検証番組でも明確に論じられていた。
日枝氏は1983年にフジテレビの取締役に就任して以来、社長、会長、そしてフジ・メディア・ホールディングスの会長など、半世紀近くにわたり同社の権力の中枢に君臨し続けた。その結果、歴代の社長や経営陣の多くが日枝氏の意向によって決定される「子飼い」の役員で占められていたため、社内に同氏へ意見できる人間が存在しない「絶対服従」の恐怖政治的な風土が醸成された。自己検証番組でも、この「日枝体制の長期化」がガバナンス不全の一因であり、ハラスメントに寛容な古い企業体質から脱却できなかった背景であると自ら指摘した。
日枝氏がすべての要職から退任したのは2025年6月で、やっと新体制の会社に生まれ変わったものだと考えていただけに、今回のトラブルの原因について多くの関係者が関心を持った。
フジテレビでは来年1月期に予定していた月曜21時枠のドラマの企画を、上層部の指示で変更されたことが明らかになった。報道によれば、予定されていたのは、男女の恋愛模様をコミカルに描く物語だったが、上層部が「男女の恋愛ものをこのタイミングでやるべきではない」と判断したという。中居問題以来、コンプライアンス部門が強化され、さまざまな意思決定に関わるようになったそうだが、今回の決定が吉と出るかどうか……。
文/横山渉 内外タイムス






