トヨタ・アルファードの「リセール神話」に異変 2023年発売の40系も中古価格下落ステージに
トヨタが手掛ける高級ミニバンとして人気だった「アルファード」の中古価格が下がり始めている。下取りに出した際の再販価値(リセールバリュー)に期待して購入した層が多かったモデルだが、肩透かしを食らう可能性がある。
中古車情報を扱うグーネットによると、2015年にフルモデルチェンジした3代目アルファード(30系)の中古車平均価格は、2024年秋ごろまで430万円前後で推移していた。しかし、2026年1月には365万円まで下がっている。約1年で60万円以上下落したのだ。
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30系だけでなく現行の40系にも下落の影響が及んでいる。2023年に発売された40系は、発売当初に購入した人が「3年落ち」の時期を迎える。初回車検や3年契約の「残価設定型クレジット」の満了を機に手放すユーザーが増えれば、40系の中古流通量が増加する。40系の在庫が増えれば、競合する30系の価格にも下押し圧力がかかる可能性がある。
アルファードの中古価格が落ちているのは、需給のバランスが崩れ始めているためだ。
アルファードは2021年から2022年にかけて中古価格が高騰した。要因の一つは、半導体などの部品不足で新車が手に入りにくくなり、中古市場の需要が急増したことだ。
中古価格が高騰すると、リセールバリューに期待してアルファードを購入する人々が増加。アルファード相場の押し上げに拍車をかけた。所得が高くなくても手に入れる手段として注目されたのが、先述の残価設定型クレジットという仕組みだ。
中古市場に押し寄せる「残クレアルファード」
残価設定型クレジットは、契約時に数年後の残価を設定し、車両価格から残価を差し引いた金額を分割して支払う制度だ。一般的なローンと比べて月々の支払い額を抑えやすく、高額なアルファードを購入するハードルを下げる役割を果たす。
2021年式は2026年に5年落ちを迎える。5年契約の残価設定型クレジットを利用した車両が中古市場に流入するタイミングとも重なる。
ここまで中古在庫が膨らんだ背景をたどると、かつての「アルファードバブル」が逆回転している構図が見えてくる。
憧れの対象だったアルファードの中古価格がコロナ禍という特殊事情で高騰すると、「数年後も高く売れる」「残クレなら月々の負担を抑えて乗れる」と考える人々の購入も増えた。それが需要をさらに押し上げ、中古価格の高騰がさらなる需要を呼ぶ自己強化型の市場を形成していた。
しかし、中古相場が下落すれば買い替えのメリットは低下し、リセールバリューを重視する購入者の需要も弱まりやすい。価格下落が需要を減退させ、その需要減がさらに中古価格を押し下げる。自己強化型だった市場が、今度は逆回転してしまうのだ。
アルファードに限らず、近年は「売却時にいくら戻ってくるか」を意識する消費行動が広がっている。特にコストパフォーマンスを重視するとされるZ世代では、時計やブランド品、スマートフォンなどでもリセールバリューが商品の評価軸になっている。
高額商品であっても、高く売れるのであれば実質的な負担は小さい。アルファードの高いリセールバリューは、こうした消費行動と相性が良かった。しかし、ひとたび需給バランスが崩れると、リセールバリューに期待して購入する層が抜け落ちてしまう。それがさらなる価格下落を招くことがある。
アルファードで起きている中古価格の下落は、リセールバリューを前提とした消費サイクルがいつまでも続かないことを物語っているかのようだ。
文/不破聡 内外タイムス






