スパイ天国の日本で「スパイ防止法」は歯止めになるか G7では日本のみ関連法なし
日本国内で活動する外国の工作員を処罰する「スパイ防止法」の制定を、自民党などが進めている。これまではスパイに関する法律が存在せず、事実上野放しにされてきた。今後、スパイ防止法の有識者会議が設置される予定で、高市早苗首相の肝いりの法案は早ければ秋の臨時国会に関連法案の提出を行う方針だ。
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与党に加え、日本保守党、参政党なども法案の成立に賛成の姿勢を見せており、高市政権下で法案の提出が行われれば、成立の公算が大きい。
スパイ防止法を制定する本格的な動きは、1985年が発端と言われている。自民党はスパイ防止法案を提出し、当時の中曽根康弘首相は「日本はスパイ天国だ」と述べ、法案の成立を求めた。ところが、最高刑が死刑であることと、情報を流出させた場合に処罰される「国家機密」の範囲が曖昧であることなどが野党の反発を招き、廃案となった。
その後、2013年には第2次安倍晋三政権下で特定秘密保護法が成立。国家公務員である自衛隊員などが機密情報を漏らした場合、罪に問えるようになった。だが、情報を流出した人物のみを罰するため、流出を促した外国の工作員などは、処罰の対象外になっており、スパイ活動の抑制には不十分だった。
2025年10月に高市氏が首相に就任すると、スパイ防止法の制定に向けた動きは加速する。5月には、政府内に情報収集の司令塔となる「国家情報局」を設置する国家情報会議設置法が、与党と一部野党の賛成によって成立した。
7月31日から施行されるこの法律では、複数の省庁にまたがる情報を集約できるようになる。日本で工作活動をしていると思われる人物に対する情報収集能力が強化される。だが、対象者の処罰までは行えないため、このままではスパイ活動の抑止にはつながりにくい。
スパイ天国と言われる日本において、実際にスパイ活動が公になった例はいくつも存在する。2020年、ソフトバンクの元社員が在日ロシア通商代表部の職員を名乗る人物に対し、社外秘の情報などを渡したとして、不正競争防止法違反の容疑で逮捕された。この職員はロシア対外情報庁に所属するスパイであり、通商代表部の職員は偽った肩書きだった。
2023年8月には、アメリカ国家安全保障局の高官が、「日本の防衛機密ネットワークを中国がハッキングしている」と指摘。アメリカの情報まで中国に流出する恐れがあるとして、アメリカ陸軍の大将が日本の防衛省などに対処を求めた。日本のスパイ防止能力が低いために、他国が被害を受ける可能性もある。
今年の7月には、米紙のニューヨーク・タイムズが、「西側諸国が追放した数十人のロシア人スパイが、日本を拠点に活動している」と報道。ロシア軍情報部隊に所属するスパイたちは、外交官やビジネスマンなどを装って活動しているという。
主要7カ国(G7)の中で、スパイを直接的に処罰する法律が存在しないのは、日本だけである。日本でのスパイ活動を繰り返しているロシアだけでなく、北朝鮮等の工作員が活動していても、直接的な処罰を行えない。日本に脅威をもたらす勢力を排除するためにも、スパイ防止法の制定が必要なのは間違いないだろう。






