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アプリで出会った少女に不同意性交「真剣に交際していた」20歳男の“化けの皮”【裁判傍聴記・前編】

刑事裁判には新件、審理、判決がある。いわゆる新件は初公判であり、審理は第2回公判以降、そして判決公判である。

裁判傍聴をする際は新件を勧める。起訴状が読み上げられ、冒頭陳述を聞いて事件の全体像が見えるからだ。その部分を飛ばして審理から傍聴すると全体像が見えない状況からの傍聴となってしまうため、飛ばした部分を想像、想定しながらの傍聴となる。

私も余程の関心がなければ審理は傍聴しないことも多い。

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先日、徳島地裁を訪れた際、不同意性交等罪の審理を傍聴した。

事件概要も知らず、初公判を見ていないので傍聴するか少し悩んだが、被告人質問から始まったその裁判は結果、審理から傍聴したからこその驚きの展開となった。

弁護人「あなたはAさん(被害者)と交際していましたか?」

被告人「はい。相手のことを考えて真剣に交際していました」

そう述べる被告人はスーツに身を包んではいるものの、年齢は18歳前後に見える。

弁護人「いつから交際していましたか?」

被告人「5月21日からです」

弁護人「どのくらいの頻度で連絡を取り合っていましたか?」

被告人「通信アプリで毎日、2時間~4時間ほど趣味や日常の会話をしていました」

弁護人「その中で性的会話はどのくらいありましたか?」

被告人「1割くらいだったと思います」

弁護人「年上だからと横柄な態度をしていましたか?」

被告人「していません。意見が食い違う時は私が一歩引いていました。Aさんのことを尊重したかったし、好きだったからです」

弁護人「Aさんの供述調書に『私の意見を聞いてくれて優しかった』とありますね?」

被告人「はい」

弁護人「あなたはAさんの年齢の人とセックスをして犯罪になると知っていましたか?」

被告人「知りませんでした。犯罪になると知っていたら、していませんでした。交際についても考えていたかもしれません」

この質問で被告人が16歳未満の年少者と性的関係を持ったのだと推測された(不同意性交等罪は13歳未満、又は相手が13歳以上、16歳未満で、行為者が5歳以上年長である場合に成立)。

「警察に言わされました」

弁護人「6月13日に会うことになったのは、どちらから?」

被告人「Aさんから言い出しました」

弁護人「デート中にセックスをすると言い出したのは?」

被告人「Aさんです」

弁護人「ホテルに行きたいと言ったのは?」

被告人「Aさんです。僕は純粋にデートを楽しみたかったので会ってすぐにホテルには行っていません」

弁護人「当時、性行為を誰でもいいからしたいと思っていましたか?」

被告人「思っていませんでした」

弁護人「調書には『Aを利用した。ただセックスがしたかった』とありますが、これは本心ですか?」

被告人「いいえ。警察に『裁判官が納得するものを作らないといけない』、『本当のことを言うと客観的に納得しないから、納得する内容を話してくれ』と言われました。訂正を求めても『客観的にこうだよね』と否定されました」

弁護人「あなたは年下の女性に性的興奮を覚えるのですか?」

被告人「いいえ。過去、付き合った女性は同世代です」

弁護人「調書には小児性愛を匂わせる内容がありますが?」

被告人「先ほど述べたように警察に言わされました」

弁護人「あなたは今何歳ですか?前科はありますか?」

被告人「20歳と4カ月です。前科はありません」

弁護人「勾留されるのは初めてでしたか?」

被告人「はい」

弁護人「Aさんの親権者に500万円を支払っていますね?」

被告人「はい。謝罪の気持ちを表したかった。両親が立て替えてくれたので、分割して返済していく予定です」

弁護人「今後、こういうことを起こさないためにどうしますか?」

被告人「若い子たちと関わる時は細心の注意を払いたいと思います」

弁護側の被告人質問が終わる。ここまで聞く限り、20歳の被告人は16歳未満の少女と交際し、性交をした。

しかし、本人の言い分は真剣に交際していたし、それが違法なことだとは知らなかったということだろう。

アプリ登録、連絡、交際開始すべて「5月21日です」

検察官「Aさんとはどうやって知り合ったのですか?」

被告人「アプリで知り合い交際関係になりました」

検察官「会わずに交際をはじめたんですよね?会ったことなくて人間性わかった?」

被告人「はい」

検察官「普通、会わずに交際します?」

被告人「自分にとっては珍しいことではありません」

検察官「Aさんにやめておこうとは話さなかった?」

被告人「Aさんが積極的に求めてきて、私も好きだったので」

検察官「Aさんとセックスしたいと自分の気持ちが優先したのでは?」

被告人「…」

検察官「真剣に交際していたなら、Aさんの親に連絡しようとは思わなかった?」

被告人「言えば断られると思っていたので」

検察官「Aのお母さんは『許せない』と言っていますが?」

被告人「反省しています。ご家族に対してもとても申し訳ない気持ちです。Aさんが成長していくにあたり、今回の件が影響すると思うので…」

検察官の質問が終わる。被告人は「真剣だった」、「Aさんのことが好きだった」と被告人質問で繰り返し述べた。

被告人のしたことが犯罪であるのは前提だが、彼のブレない返答に、その気持ちだけは本当だったのだろうかと考えを巡らせていると被害者代理人からの被告人質問がはじまる。

代理人「あなたがアプリに登録したのはいつですか?」

被告人「5月21日です」

代理人「Aさんと連絡を取り始めたのはいつですか?」

被告人「5月21日です」

代理人「付き合おうと言ったのはいつですか?」

被告人「5月21日です」

終盤の被告人質問で、聞き過ごすことのできない事実があらわになる。そして、被害者代理人により被告人の化けの皮は剝がされていく。

(後編につづく)

文/田辺朋之 内外タイムス

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