「外国人問題」を声高に叫ぶだけでは何も解決しない…「中国資本」で変貌した大阪・西成は日本の縮図か
外国資本は、景観や商業構造、居住環境に至るまで、街の姿を大きく変える。北海道ニセコや長野県白馬はその代表格で、オーストラリアやアジア系資本の大量流入により、世界有数の高級スキーリゾートへ変貌した。英語圏のような街並みと超高価格帯のホテル・飲食店が定着して賑わっている。
変化の仕方は土地によってさまざま。大阪市西成区は中国資本による民泊・店舗開発で劇的な変貌を遂げた。
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西成区(とくに天下茶屋や萩之茶屋周辺)といえば、かつては日雇い労働者の街、あるいはドヤ街(簡易宿泊所街)として知られ、近年は高齢化・空き家問題で急激に過疎化していた。5~6年前まで高齢化率が約40%、空き家率が約25%と言われていた。
西成の変化の背景には、インバウンド需要の増加、大阪市の「特区民泊」制度、そして中国系実業家や投資家による積極的な不動産買収がある。かつての簡易宿泊所や空き家となった古民家・長屋が相次いで買い取られた。天下茶屋駅は関西国際空港から南海電車の特急一本でアクセスでき、難波や心斎橋にも近い立地でありながら、大阪市内では不動産価格が格段に安かった。それが投資対象として注目された。
これらがリノベーションされ、中国人オーナーが運営する真新しい民泊やアパートへと姿を変えていった。大阪市の特区民泊事業者のうち4割以上が中国系と言われるほどだ。シャッター街化した商店街店舗には、中国人女性が接客する「カラオケ居酒屋」が急増し、看板や街並みの中華化が進んだ。
大阪市は「特区民泊」制度を導入したことで年中営業が可能になるなど、一般的な民泊営業(年間上限180日)と比べ事業者にとって非常に有利な条件が整った。昨年厳格化される前まで取得しやすかった「経営・管理ビザ」が多く利用され、民泊経営を名目に日本移住や滞在権獲得を狙う動きが中国SNSなどを通じて拡大した。
しかし、土地の所有者が中国資本や再開発業者に変わることで、昔からの住民が地代の急激な値上げを要求されたり、長屋の解体で立ち退きを余儀なくされたりする問題も起きた。夜間のカラオケによる騒音トラブルや外国人観光客によるゴミ出しマナーの問題なども発生した。大阪市は特区民泊の新規受付を今年5月で終了した。
中国資本の流入は、長年放置されていた空き家問題を解消し、インバウンドによる賑わいの創出というプラス面がある一方、治安・文化の違いで既存住民の生活が脅かされるなど、強い副作用を生んだ。
どの土地でも、生活するうえでルールを守るのは当然だが、既存住民はルール作りやマナー啓発の必要性に迫られる。保守党や参政党支持者のように外国人問題を声高に叫ぶだけでは何も解決しない。
実際のところ、中国資本が入って来なかったら、西成はどうなっていたのか。日本の大手デベロッパーが開発しなかったから、朽ち果てた長屋が残っていたのではないか。一義的には大阪市に責任があったとはいえ、そういうことにも想像力を働かせるべきではないか。外国資本に見向きもされなくなったら、そのとき日本は本当に終了する。西成は日本の縮図だと考えたほうがよい。
文/横山渉 内外タイムス






