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「国旗損壊罪」法案の罰則規定に異論続出…全体主義の中で愛国心は育たない、中国を見れば自明の理

サッカーのワールドカップ、残念ながら日本は決勝トーナメントでブラジルに敗れたが、サッカーファンでなくとも、国内のかなり多くの人が日本代表チームを応援していたに違いない。そのとき、テレビの前でいちいち「愛国心」のことを考えていた人はいない。つまり、愛国心とはそういうものであり、堅苦しい言い方をすれば、「自然の発露としての感情」なのである。

さて、「国旗損壊罪法案(国旗損壊処罰法案)」が今国会で成立する見通しだ。しかし、円安で物価高は止まらず、中東情勢も依然不透明な中、なぜ今なのかという声は多い。

国旗損壊罪法案は W 杯のフェイスペイントの萎縮効果につながる 中道・長妻議員の国会質問物議

結論から言えば、昨年秋交わされた自民・維新の連立合意書に「外国国旗損壊罪のみ存立する矛盾を是正する」と盛り込まれたことと、高市早苗総理にとっては“執念の政策”だからだ。

2012年、自民党が野党時代に高市氏が主導して法案を提出したが衆議院解散で廃案になった。2021年、高市氏が顧問を務めた「保守団結の会」が法案提出目指すも実現せず、今回は3度目のチャレンジということになる。

先月のANN(テレビ朝日系)世論調査では、同法案について「必要」が54%、「必要でない」が37%で、ある程度理解が進んでいるように見える。ただ、国会でも意見が大きく割れているのは、刑法として罰則を定めるべきものかどうかという点である。

法律論で言えば、拘禁刑を盛り込むほどの「立法事実」があるのかどうか不明確だ。つまり、国旗損壊の事案が日常的に起こって、逮捕者を実際に刑務所に入れなければ国は対応できないのかという話である。

例えば、店先に掲揚してある国旗を損壊すれば「器物損壊罪」に問われるので、現在の法律でも十分に対応できる。問題は自分の持ち物である国旗を損壊した場合だ。

処罰対象があいまいな表現で範囲が広がる恐れ

今回の法案で処罰対象は「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法で公然と国旗を損壊、除去、汚損した者」と規定されているが、非常に曖昧な表現で、具体的に何が罪になるのか判然としない。

当局が将来、恣意的に適用範囲を広げる恐れがある。また、法案では、保護の対象が「国民感情」になっている。国旗そのものではなく、「国家の象徴」でも「国家」でもない。

国旗に関しては、多くの国民は大切にしたほうが良いと考えているに違いない。ただ、一般論として、さまざまな思いを抱く人がおり、戦争のとき軍国主義の象徴として扱われてきた日の丸を見ると、忌み嫌う感情が湧いてくるという高齢者が一定数いるのも事実だ。そういう人たちの思いも大切にするのが、憲法で保障されている「思想・良心の自由」である。

日本維新の会の阿部圭史衆院議員は、今回の法案を成立させることで「国旗を大切にする気持ちが醸成され愛国心も醸成されていく」と語っている。しかし、逆に言えば、愛国心を醸成するために国民に刑罰を科すということになるのではないか。政府が「国を愛せ」と強制したところで、国民は国を愛するようになるのか。

自民党の中でも保守として知られる西田昌司参院議員は「国旗損壊は日本人としていかがなものかという話なので、モラル法でいいのではないか」と罰則の必要性を疑問視している。

日本で働く中国人に、異国の地で働く思いを聞いたことがある。彼ら彼女らは公然と政府批判することはないが、決して「政府」や「国」を信用してはいない。彼ら彼女らは、家族や友人を信用して大切にするが、「国家」というシステムには疑問を持っている。それは、政府に忠誠を誓うよう締め付けられ、習近平体制に従うよう強制されているからである。

自民も維新も、全体主義の中で愛国心は醸成されないことを知るべきである。

文/横山渉 内外タイムス

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