すき家の牛丼もワンコインメニューに「並盛ほぼ500円の時代」で3社が取る戦略
大手牛丼チェーンのすき家は、8日から牛丼などの一部商品を値上げした。外食各社が相次いで値上げを行う中、昨年9月にグランドメニューの値下げという決断を下したすき家だったが、原材料費やエネルギーコストなどの上昇に対応すべく、値下げ前の値段にほぼ戻すことになった。値上げの対象商品は牛丼に関連したメニューで、カレーなどの価格は据え置かれた。
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2000年代から2010年代前半にかけて、大手チェーン3社は牛丼の値下げ合戦を実施。牛丼に使われる牛肉が値下がりを続けたことなどを理由に、並盛を1杯200~300円台で提供し、各社が体力の続く限りの値引き競争をしていた。だが、現在はどこが並盛500円のラインを最初に超えるかを3社がうかがっている状態だ。
松屋は並盛460円でみそ汁付き。吉野家は単品で498円。この様子だと牛丼並盛が500円台に到達するのは時間の問題のようにも思えるが、どの企業も原材料費高騰にただただ苦しんでいるわけではない。特に松屋とすき家は、この値上げを利用して顧客の囲い込みに躍起になっている印象がある。
すき家では毎食70円引きになる「Sukipass」を発行。アプリ上で200円を支払えば、その月の牛丼やカレーなどを70円引きで購入できるというサービスだ。また、来店回数が増えるほどVポイントや楽天ポイントのポイント付与率が上がるキャンペーンでは、5回の来店でポイントが15倍になる。2つのキャンペーンをかけ合わせれば、並盛でも100円以上の金額がポイントで還元される。
長年すき家の専売特許ともいえる形で提供されてきたSukipassだが、松屋でもこれに似たサービスを今年から始めた。「MATSUYA PASS」は一般的なメニューを70円引きにするだけでなく、定食を100円引きで提供。今月分のMATSUYA PASSではラーメン店の松太郎なども対象店に加えており、すき家だけでしか使えないSukipassとは一線を画している。もちろん、ジョージアの「シュクメルリ」を始めとした外国料理とのコラボメニューも、人気を保つ秘けつになっている。
牛丼業界におけるパイオニアのような立場でありながら、牛丼を軸にした顧客の囲い込みを行っていないように見えるのが吉野家だ。牛丼値下げキャンペーンなどは積極的にアピールせず、代わりに星のカービィ、ドラゴンクエスト、ハローキティといったキャラクターIPなどとのコラボを次々実施。これ以外にも井村屋、RIZAPとコラボしたメニューを展開するなど、お得感に頼らない施策を頻繁に打ち出している。
かつて100円玉3枚でおつりをもらえた牛丼並盛は、今や500円玉1枚でギリギリおつりをもらえるという所まで値上がりした。だが、各社は身を削った値下げ競争ではなく、顧客の囲い込みや付加価値の付与といった戦略で戦おうとしている。

文/池田聖人 内外タイムス編集部






