当選確実となり、支持者とバンザイ三唱で喜ぶ玉城デニー氏(中央) =那覇市の教育福祉会館

知事に玉城氏再選 佐喜真氏に約6万票差

 任期満了に伴う第14回沖縄県知事選挙は11日投票、即日開票の結果、無所属現職の玉城デニー氏(62)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=が33万9617票(午前0時現在)を獲得し、無所属新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)=自民、公明推薦=の27万4771票に6万4846票差をつけて再選を果たした。無所属新人で前衆院議員の下地幹郎氏(61)は5万3671票と伸び悩んだ。今知事選は、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題の対応、新型コロナウイルス対策や経済回復を争点に三つどもえの戦いを展開。新基地建設阻止を掲げる「オール沖縄」勢力が支援する玉城氏が当選したことで、7月の参院選沖縄選挙区に続き、有権者が再び反対の意思を政府に突き付ける結果となった。
 今知事選は米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題をはじめ、新型コロナウイルス対策、経済回復などを争点に8月25日の告示以来、県内各地で三つどもえによる激しい選挙戦を展開。先月30日から4日の台風11号接近で宮古島市などで期日前投票所が閉鎖されたことに加え、11日は先島に台風12号が接近し投票にも影響があった。
 玉城氏は、前回(2018年)の知事選で支援した経済界の一部が離れるなど「オール沖縄」勢力にほころびもあったが、1期4年の実績と復帰50周年の節目で取り組んだ新たな建議書で掲げた「平和で豊かな沖縄」をめざす姿勢や、辺野古の新基地建設反対、普天間飛行場の閉鎖撤去と早期運用停止などの政策が評価され、オール沖縄勢力の票を確実に取り込み、浮動層からの支持を得て再選を果たした。
 選挙戦では基地問題のほか、県経済と県民生活の再生、子ども・若者・女性支援策の充実を柱に、コロナ禍からの回復に向けた観光振興基金40億円の活用、子どもの貧困対策基金60億円への倍増、安全・安心の沖縄に向けた離島・北部地域の医療体制強化を政策に挙げた。
 佐喜真氏は「経済危機を突破する」ことを前面に、「子ども特区」導入による給食費や保育費、医療費の無償化や、観光関連産業への1千億円規模支援、電気・ガス・ガソリン・食料品などの物価高対策、辺野古の埋め立て工期短縮による普天間飛行場の2030年までの返還、南北縦貫鉄軌道の早期実現に向けた具体的取り組みなどの政策を掲げた。選挙戦では前回同様、自民、公明の推薦を受けて政府との信頼関係を強調し、保守層や企業などの支援を受けて県政奪還を訴えたが、再び落選した。
 下地氏は「国と決別した新しい沖縄をつくる」とし、「全てを賭けて、すべてを変える」を掲げ、保育園から大学・専門学校までの教育費の無償化をはじめ、争点となった辺野古については軟弱地盤を埋め立てないことや、馬毛島への訓練移転による普天間飛行場の危険除去、国の予算に頼らないための規制緩和や民間資金活用、県内最優先などの政策を訴えた。動画配信サイトを使い米国ワシントンから出馬表明し、政策を発表するとともに、SNS(会員制交流サイト)で遊説の模様を発信するなど独自の運動を展開し、衆院選での支持層に加えて若年層の取り込みを図ったが、及ばなかった。
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 玉城デニー(たまき・でにー) 1959年10月生まれ、うるま市出身。上智社会福祉専門学校卒。タレント活動を経て2002年に沖縄市議、09年から衆院議員4期。翁長雄志前知事死去に伴う18年の県知事選で初当選、22年2期目当選。

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