米兵強盗殺人で県議会特別委 全会一致の抗議決議へ 政府・米軍へ直接要請も視野
沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会は6日、那覇市内で発生した在沖米海兵隊員による強盗殺人事件に関する審査を行った。県知事公室および県警察本部から事件の経緯や対応状況の説明を受けた委員会は、再発防止に向けた日米地位協定の抜本的改定など実効性のある対策を求めていく方針を確認。同委員会は9日の本会議へ全会一致で抗議意見書および決議案を提出することを目指し、日米両政府への直接要請も視野に対応を急ぐ構えを示した。
多良間一弘知事公室長は冒頭、被害者への哀悼の意を示した上で「他人の財産を奪う極めて悪質な事件であり、県民に大きな衝撃と不安を与えた」と非難した。5日に外務省や沖縄防衛局などに強く抗議したことを報告し、7日には知事が上京して政府へ直接抗議すると説明。日米両政府に対し、日米地位協定の見直しを含む抜本的な対策を強く求めるとの県の見解を示した。
島尻哲也警察本部刑事部長は、普天間飛行場所属の20歳の米海兵隊員を4日未明に緊急逮捕した経緯を報告。「法と証拠に基づき適正な捜査を尽くすとともに、被害者およびご遺族へのプライバシー保護、二次被害の防止など寄り添った支援を講じる」と述べた。
質疑では玉城健一郎議員(てぃーだ平和ネット)が、インターネット上などでの被害者に対する誹謗中傷を懸念し、遺族ケアの状況をただした。島尻刑事部長は「遺族の要望に沿った支援を継続している」と答弁。多良間公室長も「どのようなケアができるか検討する」と応じた。

閉会後、報道陣の取材に応じた小渡良太郎委員長(沖縄自民・無所属の会)は、9日の本会議に向けて抗議意見書および決議案の調整を進めていると明かし、「事件の重大性に鑑み、国に対しても直接要請をして受け取ってもらえる状況をつくりたい」と述べた。意見書に盛り込む6項目の要求事項については「全てが必要不可欠。同じような事件が二度と起きないよう、日米両政府や米軍に対策を講じてもらわなければならない」と強い危機感を示した。
米海兵隊員による女性強盗殺人事件に対する抗議意見書(案)
2026年10月3日、那覇市内のホテルにて女性が殺害され所持品を奪われる事件が発生し、翌日未明に強盗殺人容疑で米軍普天間飛行場所属の米海兵隊上等兵が緊急逮捕された。
罪のない女性の尊い命を奪い、所持品を奪い去った本件犯罪は、尊厳を著しく踏みにじる極めて凶悪かつ卑劣な行為であり、断じて許されるものではない。
平穏な日常の中で突如として最愛の家族を奪われた遺族の痛恨と無念さは推し量るべくもなく、県民に与えた衝撃と大きな不安は極めて深刻である。
普天間飛行場の即時運用停止、早期閉鎖返還は県民の総意であるにも関わらず、返還合意から30年経過しているが、いまだに存在することからこのような事件が繰り返し起きており、これまで本議会は、米軍人および軍属等による凶悪事件や重大な事故が発生するたびに、綱紀粛正や実効性のある再発防止策の徹底、在沖米海兵隊の早期の国外および県外の移転、日米地位協定の抜本改定等を強く申し入れてきた。
しかしながら、再発防止の誓いにも関わらず、何度もこのような惨劇が引き起こされたことは、米軍の規律保持および教育体制の限界を示しており、組織として機能していないと言わざるを得ず、激しい憤りを禁じ得ない。
よって、本県議会は、県民の生命および財産、人権を守る立場から、本事件に対して厳重に抗議するとともに、下記事項が速やかに実現されるよう強く要請する。
記
1.日米両政府および米軍は、被害者遺族への謝罪および完全な補償を速やかに行うこと。
2.日米両政府および米軍は、本事件の捜査に対し、いかなる障壁を生じさせることなく、万難を排して事件の全容解明と真相究明に協力すること。
3.在沖米軍は、米軍人等による凶悪犯罪等に対し、管理責任者の処分等を含めて組織としての責任を明示すること。
4.身柄引き渡し条項等を含め、日米地位協定の抜本改定を行うこと。
5.形骸化した「綱紀粛正」ではなく、外出禁止など行動規範の徹底や規律維持を含めた、犯罪の根絶のための実効性のある対策を確立し、その順守徹底の取り組み状況を公表すること。
6.演習等で来沖する短期滞在の米兵への規律厳守や人権教育などを徹底すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
宛先:
内閣総理大臣
外務大臣
防衛大臣
内閣官房長官(沖縄基地負担軽減担当)
内閣府特命担当大臣(沖縄および北方対策)
駐日米国大使
在日米軍司令官
在日米軍沖縄地域調整官
第3海兵遠征軍司令官
在沖米国総領事



