警察庁が「運転技能検査」の見直しを発表 免許返納に拍車か 高齢者の移動手段確保が今後の課題に
警察庁は3日、一定の違反歴がある75歳以上の高齢ドライバーが受ける「運転技能検査」について、新たな課題や減点項目の追加などを盛り込んだ検討会の報告書を公表した。検査に合格したにもかかわらず、その後に事故を起こすケースが多かったことが背景にある。
運転技能検査は2020年に道路交通法が改正され、2022年に導入された制度だ。免許更新時に、75歳以上で「信号無視」「速度超過」「携帯電話使用等」といった一定の違反歴があるドライバーを対象に行われる。検査に合格しないと更新ができない仕組みだ。
警察庁によれば、運転技能検査合格者に対して追跡調査を実施したところ、運転技能検査の合格者10万人あたりの交通事故件数等は、運転技能検査の対象ではない高齢運転者10万人の交通事故件数等よりも多いことが判明した。運転技能が低下して交通事故を起こす可能性が高い者が検査に合格しているとして、運転技能検査の内容を充実させる必要があるとの認識を示している。
今回の見直しでは、運転技能検査の課題に「方向転換」が、減点項目には「安全不確認」の追加が検討された。また、「一時不停止(大)」の減点数の引き上げも盛り込まれた。
運転技能検査の見直しによって免許を更新できない高齢者が増え、免許の返納が増える可能性がある。そこで今後大きな課題となるのは、高齢者の移動手段の確保だ。
内閣府が2023年に実施した「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」によれば、高齢者が普段の外出の際に利用する交通手段は、「自分で運転する自動車」が46.6%と、「徒歩」の50.1%に次いで2番目に多かった。また、「令和6年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の高齢者の移動手段について、大都市では「公共交通機関」が多い一方、都市規模が小さくなるほど「自分で運転する自動車」の割合が高かった。
SNSなどには高齢者に免許を返納するよう求める声が多いが、地方では、自動車がないと生活が困難になる高齢者が多いという現状がある。
運転技能検査の見直しによって事故の減少が期待される。一方で、交通手段を失う高齢者が増える可能性がある。免許を更新できなくなった高齢者の生活をどのように支えていくのかが課題だ。






