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「国家情報局」が発足 国民のプライバシー侵害など“監視社会化”への懸念も

31日、「国家情報局」が発足した。同局は内閣官房に設置された機関で、政府の情報収集や分析(インテリジェンス)の機能を強化するための司令塔組織だ。総理大臣を議長とする「国家情報会議」の事務局を担う。現在の内閣情報調査室(内調)が格上げされる形となる。

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創設された最大の意義は、「縦割り行政」の打破だ。外務省や防衛省、警察庁、公安調査庁など既存の組織が個別に保有している情報を1カ所に集約・統合し、政府全体の一元的な収集・分析を目指す。外交・安全保障の政策の総合調整を担う国家安全保障局(NSS)と同格となる。

重複する情報収集活動やシステム開発を整理・調整することで、情報予算や人員といったリソースの最適化・コスト削減が図れる可能性もある。

一方で、権限が集中することによる副作用や、組織運営上の摩擦も指摘されている。例えば、既存の情報機関(外務・防衛・警察系など)で縄張り争いや権限争いが起きれば、統合トップのリーダーシップや法的権限(予算権・人事権など)が不十分だと当初の目的も骨抜きになるだろう。

プライバシー保護に残る課題

もっとも重大な懸念は、国民のプライバシー侵害だ。国家による国民監視が強まる危険ついて、専修大学名誉教授の白藤博行氏(行政法)は、しんぶん赤旗の取材にこう指摘する。

「(法律では)国家情報局に国民に対するあれこれの具体的な権限を与えるものにはなっていない。それだけに、国家情報局は犯罪が起きる前、予防的にかつ秘密裏に広範に情報を集める任務・所掌事務が与えられているにもかかわらず、どんな時にどんな諜報活動をどのように行うのか、プライバシー等の個人情報をどこまで収集できるのか、まったく書かれていないことが問題」

先週、陸上自衛隊の「現地情報隊」が民間人や有識者らの愛国心や思想信条に関する情報を組織的に収集・調査していたという疑惑を熊本日日新聞がスクープした。陸自の情報組織が暴走したようで、政府の関与はなかったらしい。

組織論としては今後、国家情報局は防衛省を含む各省の情報を集約・調整する立場となるので、こうした一組織の暴走を防げるのであれば歓迎すべきことだが、果たしてそううまくいくか。多くの場合、行政の不祥事は隠蔽(いんぺい)されてしまう。今回も熊本日日新聞が暴かなければ、闇に葬られていただろう。

国家情報局という新組織は秘匿性の高い情報を扱うとはいえ、その運用にあたっては、国会等による適切な監督(民主的統制)が求められる。その点が不十分ではないだろうか。

文/横山渉 内外タイムス

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