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【福田淳の対談闊歩】高須克弥(第2回)大学院時代に海外留学、催眠術のアルバイト 人生で初めて落とされた僧侶の試験

漫画家になる道を諦めて、医師として歩み出した高須克弥氏。大学院時代はドイツに海外留学したり、催眠術の診療所でアルバイトをしたりするなど、破天荒な学生時代を過ごしていた。一方、祖母の影響もあり僧侶になろうと試みるが、得意なはずの試験に初めて落ちてしまう経験も。医師と僧侶、相反する2つの立場が、高須氏の人格形成に大きく影響を及ぼしているようだ。

福田 その当時は海外に行くだけでも珍しかったでしょう?

高須 僕、当時は大学院生で、あの頃の学生って割とおバカさんでね。院生になって授業料払っているのに、インターンみたいにただ働きさせられて、いろいろな手伝いさせられていてね。博士になるまでの人質みたいだった。僕は1年目に書いた博士論文が通ったから、2年目からは当直は「いたしません」と断っていた。

福田 ドクターXみたい。

高須 ドクターXですよ。学生なんだもん。「一体、どんなことを教えてくれるんですか?」って。

福田 かっこいい。

高須 インターンはやらなければいけないけど、インターンがなくなって、無給医局員と言って同じように働いている人がいた。彼らは大学院に入れなかった医者たちなんだよ。6年ぐらいタダ働きすると、博士論文を出す権利が与えられるの。

大学院は4年生までに博士論文を作ればいいから、僕みたいに1年目で作るやつがいるとは思わなかっただろうね。整形外科の医局に留まっていたんだけど、僕は海外留学したり、愛知県の催眠術の診療所にアルバイトに行ったりしていたな。

福田 ええ?

高須 僕、催眠術が上手なの。

福田 催眠術はどういう時に使われるんですか?

高須 「先生、手術してから頭が痛いんです」ってやって来る。僕は「五つ数えると痛みが消える。ワン、ツー、スリー、ポン。はい、治っただろ」って言うと、相手は一瞬治ったような気がする。一番簡単なのは相手の思考を止める技なんだけれど、これがうんと深いところまで行くと、赤ん坊にまで戻すことができる。

福田 先生はもう、X-MENですね。

高須 それが僕の博士論文なの。切断した足を痛がる「幻肢痛」というのがあって、その消し方を整形外科医は研究している。

福田 無くなったけど痛みを感じるってやつですね。

世の中がスローモーションに見える

高須 そいつを治すのを催眠術でやれる。催眠術をかけてみたら消えるのよ。それを誰も知らないから理論付けをして、「幻肢の研究」を作った。いまだに僕が大学院生1年生の時に作った論文が最先端なの。誰もそこを攻めないの。

福田 なぜこれが必要だと当時思われたんですか?

高須 麻雀ですごく負けていて、金が欲しかったの。

福田 そんな動機だったんですか。

高須 スポンサーのついている懸賞論文で、採用されて10万円もらったこともあった。神経外科の専門雑誌で、製薬会社がスポンサーになっていた。そこに書いたのよ。送ったら10万円もらえて、ラッキーだったね。

福田 当時は大金ですよね。

高須 それで、大学院1年生になった時、教授が「そろそろ、君の研究テーマを決めなければいけない。何をやりたい? わしらが教えてやる」と言ってきたんだ。「有名な学会誌にはこういうものが掲載されている」と雑誌を紹介された。「これに載ったらいいんですか?」と聞くと、「これは難しい雑誌だ。これに載ったら一流だ」と言われた。僕は「もう載ってるんですけど」って言ったの。

福田 びっくりしたんじゃないですか? 先生は。

高須 「昭和大学整形外科高須克弥。これは君か?」と聞かれて、「はいそうです。これでいいんですか?」って言ったら「これでいい」って。「後、やることはあるんですか?」と聞くと、大学院では副論文を2つ書くだけだった。副論文はみんなが書く論文の中に自分の名前を入れてもらうだけ。泊まりで研究している人たちにビールとうな重を差し入れして、「隅っこに名前書いてください」ってお願いした。だから、副論文はうな重とビール。

福田 高須先生、世の中がスローモーションに見えませんか?

高須 見えますよ。

福田 X-MEN、スーパーマンの領域だと思いますよ。でも、テーマが斬新ですね。催眠術って。

医学は宗教。時代によって定義しているものが全く違う

高須 みんなが手を付けていないだけだよ。

福田 今さらこんな質問は恐縮ですけど、サイキックとかエスパーみたいな世界は本当にあるんですかね? 人間の脳とか神経の話になるんでしょうか?

高須 それはね「トンボの世界が分からない」みたいなもので、次元が違うと簡単なことでも驚くんだよ。

福田 さっきの5秒でマインドが切り替わるっていうのは、気というか、医学を超えた何かなんですか? それとも神経の働きの中で?

高須 医学なんてものは宗教ですよ。時代によって医学と定義しているものが全く違うもの。

福田 高須先生といえば「YES!高須クリニック」のCMでもおなじみで、知らない人はいないと思います。ご自身で知名度を上げようと思ったのでしょうか?

高須 そんなことはない。僕、いろいろなところで、もともと有名だったんですよ、初めから。

福田 みなさんが注目されるようなことばかりされていますから。

高須 「YES!高須クリニック」の広告やっている時、日本ペンクラブのパーティーに行ったの。偉い先生たちもいるけど、そう偉くない人もいる。そこで「高須くん、君、『YES!高須クリニック』ってやっている美容整形の医者だって女房が言っているんだけど、違うよね」って聞かれたんだ。「違いますよ。そんなのとちゃいます」って言ったら、「そうだよね」だって。

お寺でも一緒です。「『YES!高須クリニック』やっている和尚さんと一緒ですか?」って。「よく似ているって言われるんです」って答えた。

福田 1人の人間がやっていることとは思えなくて、(高須先生が)複数人いるみたい。

高須 今日のテーマは何かなと思ってさ。女性セブン(小学館)で連載(「YES!逆張り人生 高須克弥物語」)やっていて、そこでは「逆張り人生」にテーマを絞ってやっている。でも、僕にはまだまだ別の面白い一面があるんだよ。

初めて落とされたのが僧侶の得度試験

福田 僧侶になられたのは、おばあさんの来歴から納得がいくんですね。(医師として)体だけじゃなくて、心も救おうとされる気持ちがあるんでしょうか?

高須 全くない。僕は(浄土真宗本願寺派で僧侶になるための)得度(とくど)試験の時に、お経とかやったの。お昼ご飯の時に僧侶から「リラックスしてください。試験は止まってますから」と言われた。「ところで試験とは関係ないのですが、僧侶のことを本当はどう思っていますか?」と聞かれたから、「簡単に言えば図々しい乞食です」って言ったの。そうしたら「面白いです」と言われた。でも、帰り際に試験不合格を告げられたんだ。僕、人生で初めて試験に落とされたのが僧侶の得度試験だった。

福田 すごいですね。

高須 10歳ぐらいの子どもたちがいっぱい来ていて、試験を受けているの。子どもたちは全員試験に通って、僕だけ落とされている。「何であの子たちが通ったの? お経も読めないじゃない」って食いついたんだ。そうしたら「よく聞きなさい。あなたは、僧侶になった後、念仏修行はしないでしょう。あの子たちは立派なお寺の跡継ぎです。今後ずっと仏教の修行をする。あなたは試験が通ったら『終わり』っていうのが分かるから」だって。

でもひどいじゃない。それで住職の業界誌にこのことを書いてやったの。そうしたら、そのうわさがお寺さんに回って、「ここに書かれているのはあんただろう」って、僕を落とした人がみんなに知れ渡っちゃった。

福田 波風が立ちますね。

高須 お寺さんたち怖がっていますよ、僕のこと。

【福田淳の対談闊歩】高須克弥(第3回)フリーメイソンにはアメリカ人のルートで面接に行った ブラザーだから攻められることもない に続く。31日18時公開。

《プロフィール》
高須克弥(たかす・かつや)1945年1月22日、愛知県生まれ。医学博士。美容外科「高須クリニック」院長。東海高校、昭和大学医学部卒業。同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中からドイツやイタリアなどに研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。「脂肪吸引手術」を日本に普及させた。江戸時代から続く医師の家系。2010年に紺綬褒章を受章。著書に「私、美人化計画」(祥伝社)、「ここが違う!高須克彌の美容整形」(KKベストセラーズ)、「ブスの壁」(新潮社、西原理恵子共著)など。

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