昭和HDに子会社株式処分禁止の仮処分命令 現経営陣が前代表の動きに反撃
代表取締役が不在、実印・帳簿・通帳が行方不明だという異常事態の昭和ホールディングスに、新たな動きがあった。ウェッジホールディングスと日本橋本町菓子処に対して13日、東京地方裁判所から昭和ゴムなど子会社の株式の譲渡や質権設定など一切の処分を禁止する仮処分命令が発令されたのだ。
これは、取締役に選任されたニコラス・ジェームズ・グロノウ氏と細野敦氏による対抗措置とみられる。
前代未聞 昭和HDが取締役3名欠席で代表取締役選定できず実印・帳簿・通帳が行方不明の異常事態
昭和ホールディングスは、子会社ウェッジホールディングスと日本橋本町菓子処から合計12億3300万円を借り入れ、事業資金に回していたが、借りたままの状態が固着化。融資限度額の13億円に迫る状況にあったことから、融資条件変更の協議を行っていた。しかし、ウェッジホールディングスと日本橋本町菓子処が6月26日に担保権を実行したと発表した。
これにより、ウェッジホールディングス向けの担保となっていた昭和ゴムの普通株式90%が譲渡され、昭和ホールディングスの連結子会社から外れることになる。
取締役の細野氏が昭和ホールディングスの本社を訪れたところ、そこに存在するのは看板だけで、実印や帳簿、預金通帳が行方不明だったという。昭和ゴムの従業員からは昭和ホールディングスの子会社ではなくなった結果、事務は行わないよう前代表取締役此下竜矢氏から告げられた。担保権を行使して子会社から外れたという認識のもとだろう。
此下氏は6月29日の定時株主総会にて代表取締役の退任が決定している。ウェッジホールディングスの取締役会長は此下氏だ。つまり、昭和ホールディングスの重要な子会社である昭和ゴムの支配権の維持を図ったと見ることができるのだ。
子会社の移転を阻止しても資金を用意できるか
この動きを封じ込めようと、昭和ホールディングスの現経営陣が東京地方裁判所に子会社株式等の処分禁止の仮処分命令の申立てを行った。13日にそれが認められ、仮処分命令が発令されている。
昭和ホールディングスは発令に至る経緯として、2025年9月26日の千葉地方裁判所の判決にて、此下氏が会社の取締役の地位、及び取締役としての権利義務を有する地位にないと確認されたことを挙げている。ただし、この裁判については控訴審係属中だ。
昭和ホールディングスは、株式の各根質権設定契約は代表権がない此下氏によって締結されたもので、無効であると主張した。ただし、仮に子会社の譲渡を阻止したとしても、この先昭和ホールディングスには困難が待ち構えていそうだ。資金不足である。
昭和ホールディングスは2026年3月末時点で17億6400万円の現金及び預金がある。しかし、これは連結の数字であり、此下氏が取締役会長を務める特定子会社ウェッジホールディングスの現預金は13億円だ。昭和ゴムは3億円を超える債務超過の状態で、十分な資金を借り入れる猶予はなさそうだ。
そのため、昭和ホールディングスはウェッジホールディングスや日本橋本町菓子処から資金の返済を求められた場合、十分な資金を用意できない可能性がある。
昭和ホールディングスの現経営陣と此下氏の対立は泥沼化しており、先が見通せない状態が続いている。裁判所が株式処分禁止の仮処分命令を発令した後も、混乱が続きそうな様相を呈している。
文/不破聡 内外タイムス






