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看護師不足で病床数を削減…病気になっても入院できない人が続々出る可能性

厚生労働省の推計によると、看護職員は最大27万人不足しているといわれる。一般的な職種の有効求人倍率が1.1~1.2倍程度なのに対し、看護師の有効求人倍率は2.2~2.4倍という高い水準で推移している。昨今の人手不足とは関係なく、コロナ禍以前から恒常的になっている。

繰り返される看護師の自殺 過酷な労働環境やパワーハラスメントが影響か

病院や介護施設への調査では、約77%の事業者が「看護師が足りない」と回答している。とくに500床以上の大病院や、夜間対応が必要な介護現場、訪問看護ステーションでひっ迫している。看護師紹介会社を利用し、1人採用するたび100万円の手数料を支払っている病院もあるほどだ。

ただ、どの地域がどのような状況なのか、その詳細ははっきりしなかった。そこで、NHK「クローズアップ現代」は、各地域で実際に働いている看護職員の数を調べ、人口に対する密度をマップにして可視化した。

それによると、西日本は比較的多くの看護師がいる状況で「西高東低」といえるのだが、都市部とそれ以外では状況は変わってくる。人口あたりの病床数でみると都市部は少なくなるのだが、若年人口が多いため顕在化しにくい面もある。

よって、地域全体で看護師不足をカバーする取り組みは有効だ。番組では静岡県の事例を紹介した。昨年、県の看護協会が県内各地の看護師の偏りを調査し、比較的余裕のある地域から看護師を派遣するなどの対応をしたという。

看護師が不足する大きな理由は2つ。「高齢化による需要の急増」と「過酷な勤務環境と高い離職率」だ。高齢者の入院患者は介護が必要なケースも多く、それだけ人員が必要となる。

免許だけ持っている潜在看護師は数十万人

看護師は不規則な夜勤シフト、人手不足による1人あたりの業務過多(残業の常態化)など、心身への負担が非常に大きい。にもかかわらず、賃金は国が病院に支払う診療報酬の中でやりくりされるので、ほかの産業に比べてなかなか上がりにくい構造がある。ハードワークなのに報われないという不満が出ても、無理からぬところだ。

ただ、実は看護師免許を持ちながらも医療現場で働いていない「潜在看護師」は全国に数十万人以上いると言われている。そうした人材の復職を後押しする制度をもっと考えるべきだろう。

看護師不足は病院経営にも大きな影響を与えている。NHKが取材した市立青梅総合医療センター(東京・青梅市)では3年前、看護師不足により病床の使用を制限する異例の決断をした。コロナ禍で看護師の離職が急増し、現場の努力だけでは解決できない状況に追い込まれたからだ。

満床が続けば、新しい入院患者を受け入れられないし、手術もできない。下手をすれば、地域社会の医療システムが崩壊しかねない状況だ。

看護師不足の問題ではハードワークは必ず語られるが、例えば、夜勤は診療所やクリニックなどの「町医者」にはない。さらに、日祝が休みで、残業が少なめ、入院患者のいないところがほとんどだ。

もちろん、個人経営の小さな病院は、給与と福利厚生で大病院に太刀打ちできないので、それなりに人材確保に苦労している部分はある。だからこそ、大病院と個人経営の病院の垣根を越えて人材を融通し合えるような仕組みを考えてはどうか。

文/横山渉 内外タイムス

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