特殊詐欺の被害額が1年で2倍に急増、高齢者を狙う「終活詐欺」
5月末に公表された最新の特殊詐欺の被害状況によれば、2020年以降、特殊詐欺は年々増加し、2025年は警察の認知件数で約2万8000件だった。被害額は約1423億円で、ともに過去最悪だ。
そして、その被害額は2024年から1年で約2倍と急激に増加しており、かなり深刻な状況だ。認知されている被害のうち、半分以上は65歳以上の高齢者が占めている。
今、終活中の1人暮らし高齢者などをターゲットにした「終活詐欺」が増えているという。「終活を手伝う」などといって、1人暮らしの高齢者から金銭をだまし取る詐欺だ。警察の分類では、終活詐欺も特殊詐欺に属している。
具体的にどのような手口があるのか。身辺整理で身の回りのものを捨てたり売ったりする高齢者は少なくないが、ここ数年増えたのが“押し買い”だ。これは、高額な商品を押し売りするのではなく、高齢者宅を訪れて、相場より安い値段をつけて強引に高級品を買い取ろうとする詐欺だ。
手口は、自宅を訪れた業者が着物や貴金属を売ってくれるまで居座り、強い口調で売却を強要するのが特徴。怖くなったり、早く帰ってもらいたいという一心で、安価で売ってしまう人も多い。推定される本来の売却価格で数十万~100万円のものを、5万円程度で買い取っていくケースもあり、明細を出さない業者がほとんどだ。
テレビ朝日系「モーニングショー」によれば、不動産の“押し買い”まであるという。
不動産取引はクーリング・オフの対象外
都内の戸建てに1人暮らしする男性Aさん(70代)は、数年後に自宅を売却して施設に入居することを検討していた。2024年秋、不動産営業を名乗る若い男性が自宅を訪ねてきた。何度か会ううちに、身の上話をするようになり、会話の流れから「高齢者施設に入るにも、一時金などが必要。一旦自宅を売却して、そのお金を用意すれば」などと言われたという。そして、売却後も家賃を支払い、その物件(自宅)に住み続ける「リースバック」を提案された。
Aさんは、よくわからずに契約したが、契約書には、売却額1500万円、(自宅を売却した後の)賃料(家賃)月10万円と記載されていた。ただ、売却額の相場は2000~3000万円で、賃料の相場は5~7万円程度だったということで、息子さんが警察と消費者センターへ相談したということだ。
不動産取引はクーリング・オフの対象外なので、この手の話にはより一層気をつける必要がある。
このほか、「終活セミナー詐欺」や「遺産相続の代行会社による詐欺」などもある。前者は、セミナーの事前告知で参加者に無料プレゼントや、通常より大幅に値引きした料金で終活ができるなどの特典を付けた告知で、参加者を募集する。しかし、セミナー会場では出席者の意見が通ることなく、当初伝えられていた価格よりも高額なサービスの利用を強いられるという悪質な手口だ。
遺産相続の手続きは複雑で、相続の手続きをまとめて代行してくれる会社へ依頼する人も少なくないが、後者はそんな人をターゲットにしている。ただ、遺産相続の代行は、弁護士、司法書士、税理士といった国家資格を持つ専門家に依頼するのが確実だ。
文/横山渉 内外タイムス


