沖縄に重み防衛予算8.8兆円計上 26年度閣議決定 陸自宮古駐屯地に48億円

 政府は26日、2026年度予算案を閣議決定し、防衛省関係では過去最大となる8兆8千億円超を計上した。このうち沖縄県内の自衛隊施設整備費として約691億円が盛り込まれ、那覇、沖縄本島および宮古、与那国など離島を含む広範な部隊強化と施設整備が進められる。宮古島市内の陸上自衛隊宮古島駐屯地では、通信機器保管庫の建設工事などに48億円が計上され、南西地域の防衛体制強化が継続される。
 予算案では、那覇市の陸上自衛隊那覇駐屯地を拠点とする第15旅団を「師団」に改編する方針を明記し、27年度には航空機のレーダー機能を妨害する「対空電子戦部隊」を配備する計画とした。26年度には、攻撃機能を備えた「16式機動戦闘車」を県内で初めて那覇駐屯地に配備し、運用部隊を新編するほか、自衛隊那覇病院の建て替えも進めるとして関連経費175億円を計上した。
 また、与那国町では陸自与那国駐屯地に対空電子戦部隊を新たに編成し、宇良部岳周辺に沿岸監視レーダーを新設する計画で14億円を充てた。沖縄市の陸自沖縄訓練場では補給拠点整備や弾薬庫建設に190億円、空自那覇基地では航空機を防護する隠蔽施設整備に130億円を計上している。
 小泉進次郎防衛相は同日の会見で、第15旅団の師団格上げに触れ「沖縄の守りを増強する」と述べ、「厳しい安全保障環境の中で国民の命と平和な暮らしを守り抜く国家意思を示すものだ」と強調した。
 近年、宮古や八重山、与那国など先島諸島で進んできた部隊配備に加え、今後は沖縄本島を含めた体制整備が一層進むことになる。
 こうした背景として、23日に米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告書では、台湾情勢を巡る緊張の高まりが指摘されている。
 報告書では、中国が27年末までに台湾を巡る紛争で勝利し得る軍事能力の獲得を目指し、軍備増強を加速させていると分析。運用可能な核弾頭数についても、30年までに1000発を超えるとの見通しを示した。
 また、中国は武力による台湾統一を想定し、空・海からの攻撃や海上封鎖、水陸両用作戦など多様な軍事的選択肢の整備を進めているとし、核弾頭搭載が可能な大陸間弾道ミサイル「東風31」を100基以上配備した可能性が高いとも指摘している。
 トランプ政権発足後、初の公表となった今回の報告書は、中国の急速な軍拡に強い危機感を示す一方、中国側が核軍縮交渉に関心を示しつつも慎重姿勢を崩していない現状を伝えており、南西地域を含む日本周辺の安全保障環境は一層の緊張局面に入っている。

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