医師らの講演を聞く市民ら =市未来創造センター多目的ホール

宮古島の医療考える 医師らが講演、シンポ 「2040年問題」で多くの課題

 宮古病院(川満博昭院長)の市民公開講座「どうなる?10年後の宮古島の医療―みんなで考える、自分の健康のこと、宮古島の医療のこと―」が13日、市未来創造センター多目的ホールで行われた。心臓救急や外科医療の診療科講演、地域医療シンポジウムでは医師・看護師不足の深刻化や病院から「在宅」への変化で医療・介護サービスの維持が最大の課題となっているなどの話があった。島外からの医師・看護師の確保では家賃高騰でアパート、マンションの探しに苦労したというアンケート結果の紹介もあった。高齢化社会となる人口構造の急激な変化などで宮古島の医療は多くの課題を抱えており、病院関係者と市民らが将来を考える講座となった。
 宮古病院診療科講演の藍原和史氏(循環器内科医長)は「時間との闘い、宮古島の心臓救急最前線~心臓カテーテルからヘリ搬送まで~」の演題で話した。
 急性心不全など循環器疾患は緊急を要することから24時間365日対応していることや急性心筋梗塞(心臓に栄養を送る血管が詰まる病気)などの心臓カテーテル治療を説明した。
 宮古島でできない心臓血管外科手術をしないといけない時は自衛隊ヘリで沖縄本島の病院に搬送しており、その際は医師が付き添う。搬送で多くの命が救われているが搬送決定から沖縄本島の医療機関まで早くて4~5時間かかり、悪天候の際はヘリが出動できず遅延するデメリットの説明もあった。
 話の最後には「島民の命を守るようできる限りを尽くしている。ただそれでも救えない命はあり、一人ひとりの予防意識で病気にならないことが重要」と述べた。
 西原政好氏(外科部長)は、「地域のいのちを守る外科医療・宮古病院の現在とこれから」の演題で外科症例の年次推移、腹腔鏡手術、外科医不足などを話した。
 外科手術は沖縄本島北部、八重山と比較して多いことや外科専門研修プログラム連携施設を説明。国の方針で示された外科症例の集約化では琉球大学病院、中部病院と連携した治療の説明もあった。集約化に向けて宮古病院で臨まれる外科医療については消化器がん、救急外科医療(急性腹症、外傷処置)などを挙げた。
 シンポジウムで基調講演した新里雅人氏(医療部長兼消化器部長)は、2040年問題は▽超高齢化の最終局面(団塊ジュニア世代が65歳以上になり高齢者人口がピーク迎える)▽人口構造の急激な変化(高齢者と現役世代の割合が大きく変動)―などと説明した。
 また、現役世代が減ると医療従事者の確保がより困難となる。介護を必要とする人が増える一方、働き手が不足して介護人材の争奪戦になる。その中では近隣住民による「互助」の必要性が高くなると話した。
 狩俣博幸氏(宮古島市市民生活部長)、竹井太氏(宮古島医師会長)、本村悠子氏(訪問看護ステーションみやこ)もそれぞれの立場で講話した。

関連記事一覧