気象防災の普及、啓発 専門家らが講演、トーク  宮古島市制施行20周年記念「防災講演会」(主催・市、県宮古事務所、宮古島地方気象台)が6日、市役所で行われた。気象防災の普及、啓発を目的とした講演では4人の専門家が台風災害、気候変動の実態の演題で語り、同気象台長の金城康広氏は約60年前に宮古島に襲来した「サラ」「コラ」「デラ」を説明し「過去の被害を知り、備えることが重要」と強調。ウェザーマップ会長で気象予報士の森田正光氏は1959年の伊勢湾台風で危険を促した情報が生かすことができなかったとして「正しい情報を得て逃げる。自分の命を最優先に考え守ることが大事」と訴えた。  はじめに主催者の嘉数登市長があいさつ。そのあと、金城氏が「宮古島の台風災害および令和8年度からの新たな防災気象情報の紹介」、気象庁大気海洋部気象情報課予報官の前田修平氏が「気候変動の実態と将来の予測」、森田氏が「気象情報の解説者が地域住民に最も伝えたいこと」の演題で登壇した。  金城氏は66年に襲来した第2宮古島台風(コラ)を紹介。コラは宮古島付近をゆっくり進んだことで長時間にわたり暴風と大雨があり、最大風速60・8㍍、最大瞬間風速85・3㍍を記録(日本の観測史上1位)。それによりコンクリートの柱が折れ、木造住宅は壊れ、鉄筋コンクリートの家でも窓が壊れるなどの被害が出た。  金城氏がコラを含む第1の「サラ」(59年9月)、第3「デラ」(68年9月)の3代台風を知っているかと会場に呼びかけたところ、多くの参加者が知らなかった。  金城氏は被害をイメージできなければ行動に移せないとして過去の被害を知り、備えることが重要だと話した。また、講演会や出前講座などで過去の台風とその被害を紹介し、防災意識の普及啓発を進めているものの難しく、特に「甚大な被害を経験していない世代に対しては工夫が必要」とも述べた。  前田氏は、温室効果や大気中の温室効果ガスの状況、世界・日本・宮古島の年平均気温のこれまでの変化、地球温暖化と極端な降水の変化、極端な大雨の頻度と強さなどを解説。「今後より一層、強化した対策(温室効果ガスの排出削減による地球温暖化の緩和策)を取らなければ変化がより明瞭になると予測され、台風の強度が増し、それに伴う降水量の増加も予測される」と述べた。  森田氏は、十種雲形(じゅっしゅうんけい)を紹介。その中でも積乱雲は危険であることや「上昇気流は雨、下降気流は晴」とも説明し、「宮古は平坦なので上昇気流が起こりにくい」と述べた。  講演後は、気象予報士の崎濱綾子氏(ウェザーマップ)をファシリテーターに講演者によるトークセッションも行われた。森田氏は命を守る行動で(災害時に)日頃から付き合いが深い隣人に促された避難事例を語り、「信頼できる情報や人間関係が大事」と語った。  また、前田、森田、崎濱の3氏はきょう7日午前10時から宮古高校で行われる「気象サイエンスカフェ」でも講演、フリートークを行う。 【写真説明】 講演後、崎濱氏(左)の進行で(左2人目から)前田氏、森田氏、金城氏が議論を展開した =市役所2階・大ホール

気象防災の普及、啓発 専門家らが講演、トーク

 宮古島市制施行20周年記念「防災講演会」(主催・市、県宮古事務所、宮古島地方気象台)が6日、市役所で行われた。気象防災の普及、啓発を目的とした講演では4人の専門家が台風災害、気候変動の実態の演題で語り、同気象台長の金城康広氏は約60年前に宮古島に襲来した「サラ」「コラ」「デラ」を説明し「過去の被害を知り、備えることが重要」と強調。ウェザーマップ会長で気象予報士の森田正光氏は1959年の伊勢湾台風で危険を促した情報が生かすことができなかったとして「正しい情報を得て逃げる。自分の命を最優先に考え守ることが大事」と訴えた。

講演に耳を傾ける参加者ら


 はじめに主催者の嘉数登市長があいさつ。そのあと、金城氏が「宮古島の台風災害および令和8年度からの新たな防災気象情報の紹介」、気象庁大気海洋部気象情報課予報官の前田修平氏が「気候変動の実態と将来の予測」、森田氏が「気象情報の解説者が地域住民に最も伝えたいこと」の演題で登壇した。
 金城氏は66年に襲来した第2宮古島台風(コラ)を紹介。コラは宮古島付近をゆっくり進んだことで長時間にわたり暴風と大雨があり、最大風速60・8㍍、最大瞬間風速85・3㍍を記録(日本の観測史上1位)。それによりコンクリートの柱が折れ、木造住宅は壊れ、鉄筋コンクリートの家でも窓が壊れるなどの被害が出た。
 金城氏がコラを含む第1の「サラ」(59年9月)、第3「デラ」(68年9月)の3代台風を知っているかと会場に呼びかけたところ、多くの参加者が知らなかった。
 金城氏は被害をイメージできなければ行動に移せないとして過去の被害を知り、備えることが重要だと話した。また、講演会や出前講座などで過去の台風とその被害を紹介し、防災意識の普及啓発を進めているものの難しく、特に「甚大な被害を経験していない世代に対しては工夫が必要」とも述べた。
 前田氏は、温室効果や大気中の温室効果ガスの状況、世界・日本・宮古島の年平均気温のこれまでの変化、地球温暖化と極端な降水の変化、極端な大雨の頻度と強さなどを解説。「今後より一層、強化した対策(温室効果ガスの排出削減による地球温暖化の緩和策)を取らなければ変化がより明瞭になると予測され、台風の強度が増し、それに伴う降水量の増加も予測される」と述べた。
 森田氏は、十種雲形(じゅっしゅうんけい)を紹介。その中でも積乱雲は危険であることや「上昇気流は雨、下降気流は晴」とも説明し、「宮古は平坦なので上昇気流が起こりにくい」と述べた。
 講演後は、気象予報士の崎濱綾子氏(ウェザーマップ)をファシリテーターに講演者によるトークセッションも行われた。森田氏は命を守る行動で(災害時に)日頃から付き合いが深い隣人に促された避難事例を語り、「信頼できる情報や人間関係が大事」と語った。
 また、前田、森田、崎濱の3氏はきょう7日午前10時から宮古高校で行われる「気象サイエンスカフェ」でも講演、フリートークを行う。

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