
自衛隊員への差別是正訴え 政策研究フォーラム 家族会らも呼び掛け
【那覇支局】(一社)日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)は18日、那覇市の沖縄船員会館で「自衛隊差別を許さない」県民集会を開いた。自衛隊員やその家族に対する社会的差別の是正を求めるもので、会場には関係者や市民らが集い、「職業による差別をなくし、県民として平等に扱われる社会をつくろう」と理解と連帯を呼びかけた。
集会では国歌斉唱後、沖縄の復帰から米軍基地の縮小、自衛隊への任務移管に至る歴史をまとめた映像「沖縄県祖国復帰~米軍から自衛隊への任務移管の瞬間~」が上映され、参加者が沖縄の安全保障の歩みを振り返った。
仲村理事長は、自衛隊差別の根底には「沖縄は本土から虐げられてきた被害者である」という物語(ナラティブ)が長年にわたり刷り込まれてきたと指摘。「教育やメディアを通じて形成されたこの認識が、『自衛隊は支配の象徴』という誤った構図を作り出している」と警鐘を鳴らした。
自衛隊の全島エイサー参加をめぐる批判に対しては、「自衛隊の演舞は文化活動であり、政治的行為ではない。むしろ批判する側の政治家の発言こそ政治活動そのものだ」と論理の矛盾も指摘し、自衛官への偏見是正を訴えた。
また、同フォーラムは沖縄県議会に対し「職業差別を禁止する条文を条例に追加する」よう求める陳情書を小渡良太郎県議に手渡した。
受け取った小渡県議は県政報告を行った上で「自衛隊批判が強まる中、地域に貢献する活動を政治的に排除するのは誤り。防災や医療搬送などの任務を正しく評価すべきだ」と強調した。
沖縄県自衛隊家族会の上田和守副会長は「自衛官は争いを望んでいない。平和を守るために任務を果たしている」と訴え、同会古門茂夫会長のメッセージも代読された。那覇市議の上原ゆいな氏は「自衛隊を戦争と結びつけて否定するのは誤り。平和を守る人を敬うことから平和が始まる」と呼びかけた。
また、南城市つきしろキリスト教会牧師の砂川竜一代表が抗議声明文を朗読。「同じ沖縄に生きる仲間として、互いの尊厳を尊重しよう」と訴え、参加者は力強く拍手を送った。