自衛隊の物資輸送車両前で立ちはだかる住民連絡会メンバーら =平良港下崎埠頭

軍事物資輸送を阻止行動 日米実動訓練に抗議 住民連絡会メンバーら

 島しょ防衛を想定した陸上自衛隊と米海兵隊の共同実動訓練「レゾリュート・ドラゴン25」の一環で13日、平良港下崎埠頭を使った物資の輸送訓練が行われた。防衛省がチャーターしたPFI船舶が陸上自衛隊の車両2台を降ろし宮古島駐屯地に向かおうとしたが、ゲート前ではミサイル基地いらない宮古島住民連絡会のメンバーらが「宮古島を戦場に見立てた訓練はするな」などと声を上げて阻止行動を展開した。自衛隊と住民連絡会との対峙は3時間ほど続いたが車両は船に戻され、輸送することはできなかった。
 PFI船舶は午前7時半ごろに同ふ頭に入港し、自衛隊の車両2台が降ろされた。車両は陸上自衛隊宮古島駐屯地から来た車両に先導される形でゲートへと進んだ。
 ゲート前では住民連絡会メンバーらが立ちはだかり、車両の進行を止めた。メンバーらは「陸上自衛隊の皆さん、米軍との合同訓練はやめて下さい」「私たちの住む宮古島を戦場に見立てる訓練はしないで下さい」などと抗議行動を続けた。
 マイクを握ったメンバーは「訓練は防衛省の戦争政策であり、宮古や石垣、与那国を戦場にしてしまおうという軍拡が続いている。民間フェリーを使って軍用車両を運んでくるのは防衛省の手。戦争協力に引き込まれていく企業には協力しないでくれと話をしている」と述べた。
 また「訓練の中身を知らされていない。宮古など島々を戦場に見立てた訓練することに怒りを持っている。大事な古里、生まれ育った故郷、子どもらの未来で引き継いでいく大事な古里を戦場にする訓練はやめてほしい」と訴えた。
 住民連絡会と自衛隊の対峙が続く中、通報を受けた宮古島警察署員らが駆けつけ、住民連絡会メンバーらに「この場から移動するように」と移動を呼びかけたが、阻止行動は継続。途中雨が降るなか午前10時半ごろまで続くと輸送予定の車両が船に戻された。
 住民連絡会共同代表の仲里成繁さんは「搬入する車両が少なかったし、何のための訓練だったのかと疑問が残っている。それを阻止したということは活動が正しかった」と話した。
 阻止行動したことには「自分たちが生活している島で軍事訓練を許さないとの思いは参加した全員の一致した思い。数少ないメンバーだが宮古島の戦場化を阻止したいとの思いは変わりなく、それがきょう阻止できたことにつながった」とも語った。
 日米合同の実動訓練は、防衛省からの報告を受けて8日に嘉数登市長がコメントを発表。これに住民連絡会は「市民に情報が公開されていない」として市秘書広報課と面談して情報公開を求めた。これに応えて市は12日午後5時すぎにホームページ(HP)に県のHPをリンクさせる形で掲載した。
 それによると宮古島においては、PFI船舶による物資輸送訓練を実施する計画で平良港を使用し、宮古島駐屯地まで物資を輸送する予定とあった。
 同訓練は、連携強化および共同対処能力の向上を図ることを目的に2021年度から行われており、今年度で5回目。訓練では陸上自衛隊と米海兵隊などの部隊が、それぞれの指揮系統に従って共同して作戦を実施している。

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