
説明不足に住民ら疑問の声 福祉の森構想 「地域財産であり、市の財産」 幼老施設計画に追及
伊良部佐良浜地区に計画されている幼老複合施設構想をめぐっては、18日に住民説明会が開かれたが、土地売却が知らされた住民からその是非や地域への説明不足に対する疑問の声が上がった。20日、市議会一般質問で仲間誉人市議は、市が構想を固めたうえで進めている点を厳しく追及し、地域との丁寧な対話と手続きの在り方に疑問を呈した。嘉数登市長、守武大福祉部長、幸地幹夫こども家庭局長、砂川朗副市長らが答弁に立ち、構想の必要性と今後の進め方について説明したが、市と地域の温度差が改めて浮き彫りとなった。
市長公約として掲げられた「福祉の森構想」は、旧佐良浜小学校跡地を活用し、児童館、認定こども園、高齢者介護施設を一体化する幼老複合施設を整備するもので、世代間交流による地域活性化と少子高齢化への対応を目的としている。
市は18日に同地区で住民説明会を実施。市は「地域の意見に寄り添って進める」と強調したが、出席者からは「市の方針決定が先で、住民への説明が後回しになっている」「売却ありきの進め方では納得できない」との声が噴出した。
仲間氏の質問では同施設の整備について「こども園の土地が縮小されているのではないか」との疑問や、「感染症リスクを考えた上での介護施設の併設か」といった指摘も相次いだ。
仲間市議は「子どもたちの福祉が軽視されていないか」と質し、これに対し嘉数市長は「子どもも高齢者も、両方の福祉を支えるのが行政の責任」と述べ、構想の意義を強調した。
守武福祉部長は同事業の経緯を説明し、土地の分筆と売却についても「公共目的の売却であり、問題はない」と述べた。
土地の売却に関しては「一番大事な場所を手放すことはできない」「売却ではなく賃貸で進めるべき」との声もあがった。説明会の場で拍手が起きた一人の女性の発言「島の一番大事財産は売却すべきでない」について、嘉数市長は「売却であるか賃貸であっても同こども園の機能は損なわれない」「市にとっても大切な財産であり、活用を重視したい」と答えた。
また、仲間市議は「売却についての説明がないまま議案が上がった」と市の進め方を批判。砂川副市長は「2度の説明会で済んだと認識していたが、今後は丁寧に説明していきたい」と釈明するも「固有財産検討委で売却方針を決定後、議会と住民への説明を進めるのが流れ」と答えた。
認定こども園の進ちょくについては、2024年7月から設置事業者の公募が始まり、25年内での補助金決定、来年以降の整備を見込む。
幸地こども家庭局長は「こども園の設置を第一に考え、事業者との協議を重ねてきた」と説明。一方で仲間市議は「地域の理解を得ることなく議案を上げる手法は、地域軽視と言われても仕方ない」と指摘した。