テロ制圧へ13機関訓練 連携、情報伝達を確認 平良港保安対策協議会 船内検索、負傷者搬出も
平良港保安対策協議会(会長・與儀成也平良港湾事務所長)主催の「平良港保安対策総合訓練」が4日、平良港第3ふ頭で行われた。国や県、市など関係13機関が参加。平良港漲水ふ頭岸壁に入港する船舶を3人のテロリストが乗客を人質に取り、要求に応じなければ命はないと脅していると想定し、関係機関が情報伝達や避難誘導、テロリストの制圧、船内検索、負傷者搬出などの訓練で万が一に備えた。
訓練は、平良港の国際港湾施設においてテロ等による各種犯罪などの危険行為が発生する恐れがある場合を想定し、関係機関が緊密な連携、協力のもとに連絡・強調体制を確立することを目的に行われた。
開会式で與儀会長は「国際クルーズ船の寄港はコロナ禍後、順調に回復している。こうした状況を踏まえるとテロ等を念頭においた保安対策について一層必要性が高まっており、訓練を通じて日頃から危機管理を持ち続け、有事の際の対応力を維持し関係機関の連携協力体制を再確認することが重要である」とあいさつした。
平良港湾管理者の嘉数登市長は「訓練を通して関係機関の連携を密にし、それぞれの役割、行動を確認して万全な保安対策を構築する必要がある。平良港が安心安全に利用できる港であることを国内外にアピールすることで物流および国際クリーズ船の拠点港として発展していくことを期待している」と述べた。
訓練は、通報を受けた宮古島海上保安部が宮古島警察署、港湾管理者など関係機関に「テロリストが乗客を人質に取り、要求に応じなければ命はないと脅している」との連絡。港湾管理者から港湾利用者・国際航海船舶への保安レベル引き上げの通知、港湾作業員の避難誘導も行われた。
船内テロリストの制圧は、海上保安部隊が船内に突入しナタを持っていた1人の身柄を拘束。突入に備えて待機していた部隊がもう1人の身柄も拘束。陸上に逃走したテロリストは警戒配備中の警察官が身柄を確保し連行した。
海上保管官や税関職員による船内検索があり、市消防本部の救急隊員が腹を刺されて負傷した乗客1人を病院に搬送した。
閉会式では、港湾危機管理担当官の喜志多健史宮古島海上保安部長が「各機関がそれぞれの役割に沿って綿密に連絡を図り、的確に対処されていた。各組織では戻られても訓練を振り返るなどを通じ、今後の対応の検討に生かしてほしい」と講評した。
同協議会は▽平良港湾事務所▽宮古島海上保安部▽宮古島税関支署▽福岡出入国在留管理局那覇支局宮古島出張所▽那覇検疫所平良出張所▽宮古島警察署▽市建設部港湾課▽市消防本部▽宮古港運▽平良港運▽八汐港運▽はやて―の13組織で構成している。