未収金の回収への取り組みを強化している宮古病院 =平良下里

未収金が2億1641万円 宮古病院 回収へ取り組み強化 「縮減、解消に協力を」

 県立宮古病院(川満博昭院長)は、29日の会見で2024年9月末時点の診療費個人負担分未収金が前年同期比0・6%(132万円)増の2億1641万8682円となったと発表した。未収は経済的理由の分割納入、支払い約束を守っていない不履行が全体の2割を占める。川満院長は「未収金が増加すると将来的に経営が破綻し、必要な医療サービス提供ができなくなる可能性がある。地域の医療を守るためにも未収金の縮減、解消に理解と協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

未収金の縮減、解消に向けて協力を呼び掛けた川満院長(左)ら=29日、宮古病院


同病院は、毎年11月に「診療費個人負担分未収金対策強化月間」として未収金の回収への取り組みを強化している。川満院長は「未収金の増加により経営が圧迫された場合、医療機器の修繕や新規の購入ができなくなると医療サービスの質の低下や安全な医療が提供できなくなる。危機感を持って対処する必要がある」と述べた。
 未収金の人数は2137人。内訳は分割納入が233人(2743万4443円)、約束不履行が337人(1444万6633円)、弁護士委託が462人(7408万6397円)、債務者死亡で請求先なしが122人(1987万6902人)などとなっている。
 未収金の主な理由は▽生活困窮のため医療費の支払いが困難▽健康保険料未納に伴う自己負担分の増加▽支払い約束の不履行―を挙げた。医療費の支払いが困難な人には分割支払いの相談を受け付けている。健康保険料を滞納すると医療費の全額をいったん負担することになるほか高額療養制度も利用できなくなるので健康保険料はきちんと収める必要があると注意を呼び掛けた。
 病院経営に与える影響では「県立病院だから赤字が出ても県から補てんされるから多少の未収金があっても問題ないは誤解。ごく一部の経費を除いて県からの欠損金に対する補てんはなく独立採算が原則となっている。未収金の増加によって必要な資金が確保できなくなる可能性がある」と強調した。

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