仲村さん(奥)は義妹の伊地さんに会いに訪れた =6日、特別養護老人ホーム松風園・敷地内

長寿祝う「カジマヤー」 旧暦9月7日の生年祝い 西原、佐良浜で盛大に

 市平良西原と伊良部佐良浜の両地域で9日、数え年97歳を祝う伝統行事「カジマヤー」が行われた。沖縄の言葉で「風車」を意味するカジマヤーは97歳になると8回目となる自分の干支にあたることで再び子どもの心に戻るという言い伝えにちなんで名付けられ、旧暦の9月7日に行われる。両地域では多くの家族や親せきらからお祝いの言葉とともに握手を求められ、長寿を祝った。沖縄県内のほか、台湾でも同様の風習があるという。

◆仲村英子さん(前里添)
 市伊良部前里添在住の仲村英子さんはこのほど数え年97歳を迎え、その長寿を祝うカジマヤー・パレードを家族、親戚らで行った。
 パレードは孫らの計らいで東南アジアで人気のある三輪タクシー「トゥクトゥク」で自宅から佐良浜集落を巡り、他界した旦那さんの妹が入所している伊良部長浜の特別養護老人ホーム松風園までをまわった。
 仲村さんは1928(昭和3)年7月8日生まれで5人きょうだいの3番目で次女。40年前に亡くなった旦那さんは船主として南方漁業に勤しんでいたとのこと。子ども5人、孫13人、ひ孫は16人と「だいずうやき」だ。
 その旦那さんの妹・伊地キミコさん(92歳)とは仲が良く、伊地さんが入所している松風園ではほかの入所者や職員らで出迎え、仲村さんの長寿を祝った。
 この日午前中から仲村さん宅には姪っ子たちのほか代わる代わる近所の人たちがそれぞれ得意料理を持ちよって駆け付けた。仲村さんの長寿にあやかるとともに仲村さんの家族らに囲まれた裕福な人生を祝った。
 仲村さんは「久しぶりにみんなが集まり、みんなにお祝いしてもらい、こんなにうれいしいことはない」と照れくさそうにはにかんだ。
 ひ孫の池間琉姫愛さん(13)は「英子おばーの笑顔が大好きなのでもっともっと長生きしてほしい」と話した。


トゥクトゥクでパレードへ向かう親族のみなさん=9日、伊良部前里添

◆仲間勇栄さん(西原)

訪れる人たちから次々と賛辞をかけられる仲間さん=9日、平良西原


 平良西原では仲間勇栄さんの数え年97歳の長寿を祝う「カジマヤー」が仲間さんの自宅で開かれ、子や孫、ひ孫、親戚などが集い長寿を盛大に祝った。仲間さんは参加者から次々に「おめでとうございます」と祝福の言葉を掛けられ、微笑みながら応えていた。
 仲間さんは1929(昭和4)年1月18日生まれで、3年前に他界した同い年の妻・文さんとの間に4人の子供をもうけた。現在は孫12人、ひ孫35人で、この日もたくさんの孫やひ孫に囲まれていた。
 仲間さんは6人きょうだいの次男で、若いころには長男が病気だったこともあり、漁師をしながら長男の面倒を見ながらの生活で苦労したという。その後、潜水士になり、宮古初の潜水士1級の資格を取得。仲間海事を立ち上げ、息子たちも潜水士になり仲間海事を盛り立てた。75歳で退職するまで国や県の護岸工事などを多数請け負った。
 お祝いに駆け付けた参加者は仲間さんの前で長寿を祝う言葉をかけ、仲間さんからお神酒(みき)をふるわれた。仲間さんからあやかり昆布と風車(カジマヤー)も手渡され、子どもたちはうれしそうにお礼を言っていた。
 長男の俊克さんは「カジマヤーを迎えられたというのは大変長生きしたということ。お祝いができたことが何より。今元気なのが一番」と祝福した。

仲間さんの宝である子や孫、ひ孫らと記念撮影=9日、平良西原


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