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「平和の礎」で戦没者の名前などを読み上げる生徒 =上野中学校

戦争を起こさないために 上野中 沖縄「平和の礎」読み上げ 宮古島出身の刻銘者2566人

 23日の「慰霊の日」を前に、上野中学校は20日、「沖縄『平和の礎(いしじ)』を読み上げる集い」(同実行委員会主催)を行った。全校生徒104人が平和の礎に刻銘されている宮古関係者の名前を没年齢とともに読み上げた。この集いは戦争体験者の声を聞く機会が年々減る中で、戦争を知らない世代が戦没者に思いを馳(は)せ、悲惨な戦争の実態と向き合い、戦争によって失われてしまった「命」について考え、また平和の尊さについて生徒たちが学ぶ場にしようと昨年に引き続き実施された。
 同校では午前9時から行われ、3年生から伊良部出身刻銘者の名前と享年を読み上げ始めた。名簿には亡くなった場所も記載されており、中国やビルマ(現ミャンマー)、南方の島々などが記されていた。
 沖縄戦では、90日に及ぶ悲惨な地上戦で20万人余りの尊い命が失われた。その悲劇を繰り返さないことを誓った「平和の礎」には太平洋戦争などで犠牲になった24万人余の名前が国籍と共に軍人、民間人を区別なく刻まれている。
 同校は名前を読み上げることで、戦争で犠牲になった一人ひとりの「命」について考えることにつながるとして昨年に引き続き参加。上野出身の戦没者名も読み上げられた。
 最初に読み上げた図書専門委員委員長の渡真利好美さん(3年)は「自分と近い年齢の人がたくさん亡くなり、その当時労働をさせられていたことも分かり心が痛くなった」、田上蓮温さん(同)は「緊張したけどうまく読めて良かった。亡くなった人の中には幼くして命を落とした人たちもいて、改めて平和の大切さを実感した」とそれぞれ話した。
 対馬丸で祖父が弟と妹を亡くしたという4月に教職員として赴任したばかりの佐久川長政教諭(1年1組担任)は、「戦後79年たつが遠い昔の話でなく、命の尊さと平和の大切さを考えれるよう生徒に伝えていきたい」と話した。学生時代には自身も祖父や周りからその時のことを聞いていたとのこと。
 砂川泰範校長はこの取り組みについて「戦没者の名前を実際に生徒たちが自分で読み上げることで、戦争や平和についての考えも深まると思う」と語った。また、配信を見ていた東京在住者から「伯父の名前が刻名している。戦争でたくさんの尊い命が犠牲になりその一人ひとりに名前があった。来年も平和の礎をしてほしい」と連絡が入ったことも報告された。
 この取り組みは世界各地の参加者を地域の会場とオンラインで結び、戦没者名の読み上げを通して、平和を発信することを目的としている。期間中は時間内(原則午前9時~午後9時まで)に誰でも参加可能。6月1日からはじまり、23日までを予定している。

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