社説 農業委員選考の正当性調査②

 農業委員の候補者選考過程を明らかにし、選考の公平性・透明性を判断する目的で設置された調査特別委員会は、候補者を「評価・選考」する権限の所在について聴取を行った。
 農業委員会は「地方自治法の事務委任規定は『権限所在の変更』であり、市からの事務委任の際に農業委員候補者の『評価・選考』の権限は市長から農業委員会に移った。現行規則での市長権限は議会上程と議会承認後の任命行為に限られる」とし「市から独立した農業委員会が法規に準じて評価委員会を設置して公正に行った候補者選考を『市長の総合的な判断』という曖昧な基準で市が変更するのは不当」だと主張。
 一方の副市長も同自治法を根拠に「農業委員会への事務委任は、あくまでも農業委員候補者選任の一部の事務であり『任命権』は市長固有の権限」だとして「最終選考は『市長の任命権の範囲内』であり、法的な逸脱はない」と主張。
 調査特別委員会では「双方の主張のどちらに『法的正当性』があるかの判断については外部有識者に意見を求める必要がある」として▽事務委任の範囲について▽農業委員会の告示内容を市長が変更した件(中立委員枠の増)について▽農業委員会の行った区割りについて―の解釈を、農業行政に詳しく中立機関である沖縄県農業会議に求めることを全会一致で決定し、双方の主張を添えて同会議へ見解を求めた。
 依頼を受けた県農業会議は、同案件が県内初の事例であることから回答に慎重を期すため、上部団体や所管省庁等に助言を求めたうえで▽事務委任範囲は「農業委員会が規則に基づいて行った一連の事務処理は事務委任の範囲内」▽市長による告示内容の変更は「告示後の変更は選考基準の統一性・公正性のうえで望ましくない。変更の場合は具体的な根拠に基づく説明責任を負う」▽区割りは「農業委員会の事務委任の範囲内であり区割りを行うことは問題ない」―と返答。この回答により法解釈議論は結審したと考えられた。(続)

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