記者の質問に答える玉城知事 =県庁

知事「民意踏みにじり遺憾」 沖縄担当相「コメント控える」 国が初めての代執行

 【那覇支局】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う地盤改良工事を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が28日、玉城デニー知事に代わって沖縄防衛局の設計変更を承認したことを受けて、玉城知事は同日、県庁で記者会見し、「国策の名の下に代執行という国家権力によって、選挙で県民の民意を踏みにじり、憲法で定められた地方自治の本旨をないがしろにするものであり、遺憾である」と述べ、国の対応を批判した。国が代執行するのは2000年の改正自治法が施行されて以降、全国で初めてとなる。
 辺野古の軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更の裁判はことし9月に最高裁判決で県が敗訴し、承認する法的義務が確定。しかし、玉城知事が期日までに承認しなかったため、国は地方自治法に基づき代執行訴訟を起こした。福岡高裁那覇支部は20日、県に承認を命じる判決を出したが、玉城知事は期日の25日までに承認せず、27日に最高裁へ上告した。斉藤国交相は26日に代執行する通知を県に発送していた。工事は来月中旬にも再開される見通しとなった。
 玉城知事は「今回の代執行は法定受託事務に係る裁決についての判断を仰ぐことが認められず、是正の指示の関与が一方的に重ねられた上で行われた」と指摘。その上で「国と地方公共団体との関係を『対等・協力の関係』とした地方分権改革の成果を無にし、『上下・主従』の関係に逆行させるものにほかならない」と述べた。
 設計変更が承認され、工事が順調に進んでも完成までに9年3カ月、移設完了には12年を要するとされている。
 玉城知事は政府に「沖縄の苦難の歴史に一層の苦難を加える辺野古新基地建設を直ちに断念し、問題解決に向け、県との真摯(し)な対話に応じるよう」求め、今後については「難工事であるがゆえに、これから何十回となく、設計変更の申請が県に提出されると考えており、そのような申請が適正であるかどうかを厳正に審査していく」と話した。
 自見英子沖縄担当相は同日、那覇市内で記者団の質問に「沖縄担当大臣として答える立場になく、コメントは差し控える。沖縄を振興する大臣として、基地の跡地利用の促進など沖縄振興に引き続き尽力したい」と答えた。

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