しまくとぅば講座開講 3年かけて講師要請 宮古島市で初開催
しまくとぅば普及センター(狩俣繁久センター長)は9月30日、県宮古合同庁舎で、「しまくとぅば講師養成講座宮古初級」の開講式を行った。3年間をかけて、小学校で授業ができる人材の育成を目指すもので、宮古島市では初開催となる。消滅の危機にある方言を次世代に伝承する担い手を目指し、県外からの移住者を含む40人が参加している。開講式では大城裕子教育長も激励のあいさつをし、式後にはさっそく初級講座が始まった。
宮古方言は2009年、県内各地の方言やアイヌ語とともに、ユネスコの「消滅の危機にある言語」に登録された。しまくとぅば普及センターは方言の普及と継承を目的として設置され、県内各地で講師養成講座を開いている。講座は初級・中級・上級と3年間で完了するもの。上級合格者には県知事から認定証が交付され、センターの人材バンクに登録される。
狩俣所長はこれまでの講座では文化史的な講義から始めていたが、受講生の減少を招いたことを紹介。宮古ではより実践的な講義を基礎からわかりやすく展開するとし、「実践や教え合いを重ねながら、安心して派遣できる講師を養成したい。石垣ではオランダ出身の人もおり、今方言を話せるかどうかは問題ない」と述べた。講座の修了には、受講生が自ら作成したテキストを使って模擬授業を行う必要があるという。
大城教育長はことし7月に開催された第28回鳴りとぅゆんみゃーく方言大会で、宮古高校1年の友利琉月さんが最優秀賞に輝いたことを紹介。「若い世代がみゃーくふつを自分のもののとして、堂々と発表する姿は素晴らしい。方言の継承にはさまざまな課題があるが、希望を与えてくれた」と述べ、受講生が文化継承の担い手として活躍することに期待を寄せた。
同大会を主催する市文化協会の饒平名和枝会長も、講師養成講座に参加。「会長としてではなく個人として、文化を残していく一助になりたい。方言の楽しさや奥深さを理解できる機会になると思う」と話した。
茨城県出身の倉持利明さんは宮古に移住して12年たち、三線講師としても活躍している。倉持さんは「宮古を愛する一人として、音楽だけでなく言葉や文化を総合的に伝えていきたい」と受講動機を語った。