食肉センターから仕入れた地元産の島豚ロース =JAあたらす市場

豚肉の販売開始 あたらす市場・食肉センター 野菜との相乗効果を

 JAあたらす市場は今月から、宮古食肉センターが卸売する豚肉の販売を開始した。まだ数量は少ないものの初回仕入れ分は完売するなど出だしは良く、野菜との相乗効果を図っていく。同センターでは畜産の生産基盤が縮小する中、と畜事業だけでは収益の向上は難しく、経営改善に向けた販売事業強化のため昨年から豚肉の販路拡大や精肉処理のできる職員の育成に取り組んできた。販売増加が農家の生産意欲につながることも期待している。
 あたらす市場では今月初めから「島豚」としてロース、バラ、ソーキ、ヒレ、テビチ、だし骨を真空パックで販売。同店の下地亨店長は「地元産の豚肉をできるだけ安く販売しようと食肉センターと話し合ってきた。状況を見て定期的に発注できれば。肉を買って野菜も買うという相乗効果を期待している」と話した。
 食肉センターは2016年に現施設を建設した際に想定した計画に対し、現実には生産基盤が縮小して牛や豚のと畜頭数が伸びず、厳しい経営が続いている。豚のと畜数は09年度には815頭だったが近年は500~600頭台で推移。22年度は582頭でヤギの600頭に抜かれている。牛は200頭台で増減を繰り返している。
 と畜は固定費等が大きいため利益が低く、全国的にも販売事業で補っているという。同センターでは22年度から豚の販路拡大、豚肉の精肉処理が行える職員を研修で育成してきた。販売事業の実績は3828万円で計画比121・1%を達成。23年度は4379万円を計画している。
 同センターの仲村敏社長は「想定した計画に沿って施設を整備し人員を配置しているが、実際には生産基盤が縮小する中で経営難を解消するには販売事業を拡大しなければならない。新たな収益事業を展開する必要がある。昨年度、市役所での販売が好評だったので、あたらす市場との取引を始めた」と話した。

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