市で重要土地規制施行 自衛隊周辺など6カ所
内閣府は15日、宮古島市において、重要土地利用規制法に基づく区域指定を施行したと発表した。自衛隊施設周辺の「特別注視区域」2カ所、海上保安部などの「注視区域」4カ所の計6カ所。同法は安全保障上重要な防衛機能が阻害されることを防止するため、2021年6月に成立。市の規制区域は7月12日に告示されていた。特別注視区域で一定以上の面積の土地などを売買する場合、氏名や国籍を事前に届け出ることが必要になる。
内閣府によると、国境離島や防衛関係施設周辺での土地の所有・利用を巡っては、かねてから安全保障上の懸念が示されていたという。同法は20年7月の閣議決定を踏まえ、該当する土地の利用状況を調査、規制するために制定された。
防衛上重要な施設の周囲おおむね1000㍍と国境離島のうち、防衛機能阻害を防止する必要があるものを「注視区域」に指定。特に重要または機能阻害が容易で、ほかの施設による代替が困難なものを「特別注視区域」に指定する。
市では陸上自衛隊駐屯地と空自分屯地、保良訓練場周辺が「特別注視区域」に指定された。「注視区域」は▽東平安名崎▽上野宮国の海岸沿い▽宮古島海保周辺▽下地島西岸―の4カ所。
指定区域内で防衛機能が阻害されないよう、土地の利用状況を調査できるほか、阻害行為があった場合には規制をかけることができる。また特別注視区域では、一定以上の売買について届け出が必要になる。
宮古島市選出で自民党所属の下地康教県議は「厳しさを増す国際情勢の中、防衛上重要な機能を果たすために必要な規制をかけるという趣旨。ただし規制のかけ方については、地域住民と調整しながら進める必要がある」と述べた。
同じく立憲民主党の國仲昌二県議は「立法の必要性そのものに大いに疑問があり、政府による恣意(しい)的な運用で人権侵害が起きることが懸念される。われわれだけでなく市民も含め、しっかりと監視していかなければならない」と話した。
沖縄4区選出の西銘恒三郎衆院議員は「日本には『スパイ防止法』もなく、他国に比べまだ規制が弱いという意識がある。悪意を持った外国人による土地利用を規制するとともに、経済活動と両立していく必要がある」と語った。