野犬が子牛噛み殺す 市・保健所が罠設置
上野宮国の牛舎で、畜産農家が飼養している子牛が野犬に噛み殺される被害に遭っていたことが、13日分かった。農家の男性は本紙の取材に、「初めてのこと。生活に大打撃だ」と落胆した様子で語った。市と宮古保健所は同日、今後の対応を協議。現場近くに協力して、大型の捕獲罠を設置した。市は条例違反の放し飼いが野犬の増加につながっているとして、飼い主への指導を強化する方針。併せて、市民に情報提供への協力も呼びかけている。
野犬の被害に遭った農家は、「長年牛を育てているが、こんなことは初めて。ただでさえ飼料の高騰などで経営が厳しくなっているのに、子牛が殺されてしまっては生活が成り立たない」と肩を落とした。
この牛舎では1頭が亡くなり、1頭が傷を負っていたという。「足にけがをしていたので治療を施した。甥も近くで畜産をしているが、そこでも牛が噛まれてけがをしている。複数の農家から、ニワトリが被害に遭っているという話も聞く」と述べる。
保健所職員によると、牛やニワトリ、ヤギなどの家畜への野犬被害は慢性化しているという。職員らが共同で2時間半ほどかけて、約2㍍四方の捕獲檻を設置。監視カメラで野犬の動向も監視するという。
市職員は「野犬か放し飼いの犬かはすぐに見分けがつかないが、放し飼いの犬が外で繁殖することが野犬の増加につながっている。条例違反だけでなく、近隣住民への迷惑にもある。十分に注意した上で犬を飼ってほしい」と話した。
放し飼いをしている飼い主だけでなく、野良犬への無責任な餌やりをしている人へも、そうした行為をやめるよう指導・注意喚起を行っていく方針。
所管する市環境衛生局の下地睦子局長は、「野犬問題は一朝一夕に解決できることではないが、取り組みを強化したい」と説明。その上で、「野犬がかわいそうとのことなのか、罠から逃がしてしまう人がいて、檻も何度も壊されたことがある。農家の皆さんの生活がかかっているし、市民が噛まれてけがをする可能性もある。絶対にやらないでほしい」と強く訴えた。
市は目撃情報の提供など、野犬対策への協力を市民に呼びかけている。問い合わせは同局環境保全課(79・5283)まで。