“速やかな情報開示を” 反撃能力配備で市長
政府が新たな安全保障関連3文書を閣議決定したことを受け、沖縄防衛局の小野功雄局長が11日、市役所に座喜味一幸市長を訪ね、概要を説明した。非公開で行われた説明後、座喜味市長は米国製巡航ミサイル「トマホーク」などの配備を含む反撃能力(敵基地攻撃能力)の向上について、防衛局側が「現時点では具体的に定まっていない」と説明したことを踏まえ、「今後、計画が浮上した場合は、速やかに情報を開示するよう求めた」ことを明らかにした。
冒頭、小野局長は「わが国における安全保障は厳しい状況にあり、領土、領海、領空をしっかりと守る必要がある。文書にのっとって戦略的な思考を持ち、しっかり対応していかなければならない」と述べた。
これに対し、座喜味市長は「安全保障に関する大きな動きがあり、南西諸島に住むわれわれ当事者は大変注視している。政府がどのように考えているのか話を聞くとともに、率直に意見交換したい」と求めた。
説明は非公開で1時間ほど行われた。終了後、報道陣に対応した座喜味市長は市の安全保障について「有事を前提とした場合は市民の保護のため、政府の意向によるとしても、より丁寧かつ具体的に事業に組み込む必要がある」との見解を示した。市内の港湾や空港などの軍事利用については「現在、平時における活用の仕方を国交省、防衛省、海上保安庁で議論を重ねている」と述べるにとどめた。
昨年12月16日付けで閣議決定された「国家安全保障戦略」など安保関連3文書では、反撃能力(敵基地攻撃能力)を明記し、2026年度に長射程の米国製巡航ミサイル「トマホーク」の配備を目指すとしたほか、23年度から5年間の防衛費総額を43兆円と19~23年度の1・5倍に増額するとした。
沖縄に駐屯する陸上自衛隊第15旅団を今後5年以内に師団に改編する計画もあり、岸田文雄首相は南西諸島における陸上自衛隊の倍増や全国から部隊を迅速に展開するための輸送機、輸送船舶の増強など、配備強化を推進する考えを示していた。