「住めるが暮らせない」に 賃貸市場の課題の解決策を
観光と開発が急拡大する近年の宮古島で、住宅不足が深刻さを増し、賃貸物件の家賃高騰にとどまらず、「借りたくても空き物件がない」という異常事態が常態化し、課題とされてきた。ところが、本紙の不動産関係者への取材では、空き部屋はどんどん増えているものの、高額物件だけが残る歪な市場構造が浮き彫りとなった。生活コストの上昇や人手不足、環境負荷など、島全体が抱える課題も顕在化。地元住民や転勤者の生活に影響が広がっている。
住宅問題は生活全般に波及している。離島特有の物価高に加え、レンタカー増による渋滞や事故、医療・保育の逼迫、人手不足の深刻化が重なり、地下水や景観など環境への負荷も懸念される。
不動産関係者への取材では、軒並み10万円未満の物件は公開から即日で埋まり、高額物件だけが残っている現状が明かされた。
日宅(旧アパマンショップ宮古島店)の担当者によると、10月に一時的に約80室が空いたものの、そのうち家賃10万円以下の物件は全体の2割程度で、募集開始直後に成約したという。
現在、残る空き室は10万円以上の高額物件が中心で、担当者は「医師や教職員など異動者が『住める場所』はあるが、給料だけでは家賃が精一杯。特に副業もできない公務員には厳しい状況」と語る。
また、オーナー側にも“宮古島バブル”意識も根強く、建築単価も高騰し、家賃が下がる兆しは見えないという。一方で、資本力のある企業側は空室不足を背景に自前で社員寮を整備していることから、建築作業員の確保に現在の高騰化した空き部屋への需要は期待できそうにない。
また、3月末には新築約120室の募集も予定されているが、賃貸市場の逼迫解消には至っていないという。
たけちゃんホームに掲載された12月24日時点のデータでは、市内平均家賃は1R・1Kが8万円、1DK・1LDKが12万円、2DK・2LDKが8万5000円、3DK・3LDKが12万円となっている。
最高額は2K15万円だが市街地ではない。最低額は市街地下里の1Kで6万円。担当者によると、問い合わせは1LDK以上のファミリータイプに集中し、慢性的な供給不足が続く。また、ペット可や複数台駐車場を求める声も多く、4~5月の進学および転勤期に需要が一層高まる傾向が示されることから、やはり県や市の補助なしでは生活が厳しい水準となっている。


