農家の努力、価格に結実 2025年牛セリ 宮古・多良間市場で回復基調
2025年のJAおきなわ宮古地区本部の宮古および多良間家畜市場の肉用牛セリは長引く価格低迷の「試練」から、希望の見える「反転」へと転じた1年となった。宮古家畜市場では月齢12カ月以内の子牛1頭平均価格が年初の1月期こそ47万円台と厳しいスタートを切ったが、2月期には久しぶりの50万円台を回復。その後は右肩上がりの推移を見せ、11月期にはついに22年4月以来となる70万円台の大台に乗せた。多良間も2月期47万8775円から12月期68万1177円へ上げた。
25年の幕開けとなった1月19日の初セリ式典では、JAや市、農家らが集い、肉用牛振興への決意を新たにした。前年下半期に41万~44万円で推移し、10月には平均価格が41万円台、13年以来の低水準まで落ち込むなど、畜産経営はまさに「試練」の只中にあった。
流れは春から急変する。2月期は58万2601円と前月から10万9178円上昇、3月期は64万9885円まで上げ、4月期も64万8661円と60万円台を維持した。5月期は62万6665円とやや下げたが、6月期は63万4719円、7月期は65万40円、8月期は66万4772円と高値傾向が継続。9月期は62万6360円と前月から3万8412円下落し、10月期は62万6833円と小幅回復にとどまった。
11月期には73万372円と前月比10万3599円高で3年7カ月ぶりの70万円台に到達し、12月期は74万4299円とさらに上昇。同月期の最高価格は去勢104万8300円、牝83万4900円だった。
多良間村のセリ市でも同様の回復基調が見られた。2月期は月齢12カ月以内の子牛133頭が販売され、1頭平均価格は47万8775円と前回比ほぼ横ばい。8月期は60万9725円へ伸び、前年同月比で約20万円高を記録。10月期は57万9682円と前回から下げたものの前年同月を上回った。12月期も好調を維持し、子牛106頭が販売され、平均価格は68万1177円と、こちらも前年同月から20万円以上も値を上げ、1年を締めくくった。
両家畜市場とも、年内の推移は春先の回復、夏場の高値維持、秋口の調整を経て、年末にかけて再び上昇する形となり、農家が粘り強く品質維持に努めたことが、年末までの好況を呼び込んだ形だ。関係者はこの勢いが持続することを強く期待し、26年初頭の相場動向が注目される。


