医療の人材確保で意見交換 国民保護計画で連携確認
2025年度宮古管内県機関と宮古圏域の宮古島市、多良間村の意見交換会が23日、市役所で行われた。市は医療従事者の人材確保や住宅確保対策の検討について提案。県は「将来的に医療需要の増大や人口が減少するなかで人材確保は困難になる可能性が高い。対抗するには住宅確保や生活環境の整備、ICTの活用で問題解決を検討してく必要がある」との考えを示した。有事を想定した国民保護計画に係る住民の島外避難については宮古島市、多良間村、県が情報交換や連携した形で取り組んでいくことを確認した。
意見交換会には宮古島市から嘉数登市長、砂川朗副市長、宮城克典教育長ら、多良間村から伊良皆光夫村長、本村和也教育長らが出席。県からは川上睦子宮古事務所長、金城靖宮古農林水産振興センター所長、川満博昭宮古病院長らが出席した。
医療従事者の人材確保対策および住宅確保対策の検討については、砂川副市長が提案理由を説明。人材確保に向けては宮古島市と県が協議しており、これを踏まえて県の考えを聞いた。
川満院長は「(協議は)宮古病院だけでは対処できないものがあり、連携して進めていく必要がある。今年度も引き続き喫緊の課題である人材確保対策などを協議している。特に医療従事者の定住確保は県の関係機関とも協力して取り組みたいとの議論が始まっている」と述べた。
これには県と市が一体となった将来に関する共通のビジョンを作り、具体的な施策を検討していくことも示し、「地域医療の課題に対応することで持続可能な医療を構築していきたい」と述べた。
県離島患者等通院費支援事業に関しては、宮古圏域で発生している病気の患者8割程度は宮古病院で治療ができているが、残り2割の心臓疾患などは宮古島ではできない病気もあることから、その際は沖縄本島の病院で治療せざるを得ない状況も説明した。
宮古島市は、がん患者・指定難病等の渡航費助成事業を行っているものの、「財政負担が大きい」として県に対し、共に検討するよう要望した。
この日の議題は宮古島市が農業農村整備事業推進(県出先機関との人事交流、国営事業推進のため団体営事業による高度化支援事業の要綱の拡充)、防疫に関する取り組み(焼却処分地磁器探査の詳細把握)を提案した。
多良間村は国民保護計画、AIを使った業務効率化などを提案。国民保護計画では、多良間村から九州へ避難する際は航空機や船舶を利用し、宮古島に避難したあと九州へ向かう。安全かつ速やかに避難するためには「県、市、村の緊密な連携が不可欠」と強調した。
一定期間避難する特定臨時避難施設の整備、維持管理費については国で全額負担することを求めるために県に連携を要望した。


