10年ぶり増も国家予算の0.22% 沖縄振興費2647億円
政府が示した2026年度当初予算案で、沖縄振興費は2647億円にとどまった。前年度比5億円増とされ「10年ぶりの増額」が強調されているが、政府全体の一般会計当初予算が120兆円を超える過去最大規模となる中で、その割合は約0・22%。国家予算が膨張を続ける一方、沖縄振興は「誤差の範囲」「わずかばかり」とも言える水準に押し込められた格好で、国の沖縄政策の本気度が改めて問われている。
内閣府が18日、自民党の沖縄振興調査会で示した。県が求めてきた3000億円台には5年連続で届かず、8月の概算要求段階で示された2829億円からも大きく削減された形となり、県が掲げる「3000億円台回復」には届かなかった。
また、県が自由に使途を決められる沖縄振興一括交付金はソフト(5億円増の347億円)、ハード(10億円増の390億円)と合わせて前年度比15億円増の736億円を見込む。
沖縄担当部局によると、予算案では那覇空港と基地返還跡地の一体的開発を目指す「GW2050プロジェクト」の早期実現を重要項目に位置付け、跡地利用計画策定支援などの経費を増額。自治体の計画策定支援や跡地先行取得事業に51億円を計上。補正予算と合わせれば70億円超とするが、これは巨額の国家予算の中では象徴的な数字に過ぎない。
自民党沖縄振興調査会では「物価上昇や人件費を考慮し、しっかり手当てした」との説明もあった。しかし、社会保障費や防衛費などが聖域化され、兆円単位で積み増される中、沖縄振興は毎年のように削減や抑制の対象となり、裁量性の高い一括交付金は厳しい査定が続いてきた。
政府は「強い沖縄経済」を掲げ、先端医療技術などの研究開発支援を新設するとするが、基地負担と引き換えに約束されてきた振興策としては力不足との声は根強い。
国の財政規模が史上最大を更新する一方で、沖縄振興費は全体の0・22%という数字は沖縄が国家予算の中でどの位置に置かれているのかを冷酷に映し出している。
その背景には米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る国と県の対立が長期化していることや、財務当局による予算査定の厳格化があるともみられる。政府は近年、沖縄振興予算を国直轄事業や跡地利用、離島支援といった個別事業に重点配分する傾向を強めており、県側が裁量を持つ一括交付金との間で乖離(かいり)が指摘されてきた。
また、社会保障費や国債費の増大により国全体の財政が厳しさを増す中、沖縄振興予算についても執行管理を重視する姿勢が強まっていることや、過去に県側で不用額が発生したことも、財務省による査定が慎重になる一因とされる。
予算案は国会審議を経て最終決定される見通し。来年、知事選を控える中、沖縄振興予算の水準や配分のあり方が引き続き大きな争点となり、振興の名の下に続く「微増」「未達」の繰り返しに、県内では、本当に国の成長戦略の一部なのかという疑問が強まる。


