旅客船事故備え、救助訓練 負傷者の搬送手順確認
宮古島海上保安部、宮古島市消防本部は25日、平良港内で多数傷病者対応合同訓練を行った。遊覧船が浅瀬に座礁した衝撃で多数の負傷者が出たと想定し、海保と消防本部が連携してトリアージしたあと重症の負傷者を優先して搬送するなどの手順を確認した。訓練は本番さながらに行われ、強風で波が高い中の遊覧船から巡視船へは慎重に搬送した。同保安部の丹野博信部長は「実践的で有意義な訓練ができて連携が深められた。今後も練度を高め、より連携を強化し万一の事故に備えたい」と話した。
訓練には宮古島海上保安部と宮古島市消防本部の職員、宮古病院の医師、はやての遊覧船「モンブラン」の乗員らが参加した。
訓練は遊覧船が平良港内を航行中、浅瀬に座礁した衝撃で10人の負傷者が発生し、船長が海保に救助を要請。これを受け消防本部の救急隊員を乗せた巡視船「はりみず」のゴムボート、巡視船「ひさまつ」が遊覧船に接舷し、海保と消防の職員らが移乗し連携して負傷者の救出、応急処置などを行った。
ゴムボートで遊覧船に乗った消防本部の救急隊員らは、負傷者に声掛けしながらけがの度合いを確認しトリアージ(負傷者の重症度に応じて治療の優先度を選別)した。「赤」(重症群)、「黄」(中等症群)、「緑」(軽症群)と色分けし、重症の負傷者はタンカに乗せて巡視船「ひさまつ」に移乗した。
このあと軽傷者らはゴムボートに乗り、巡視船「はりみず」に向かった。
訓練では乗組員らが重傷者のそばで「早くここに来て下さい」「助けて下さい」などと本番さながらに大きな声で助けを求めた。救急隊員らの「話はできるか、歩けるか」などと声掛けする姿が見られた。
宮古病院の金城雄生医師は「宮古島では観光船や漁船が多く、海難事故も多いので訓練は非常に有意義だと感じた」と話した。
海上の訓練には「船内の特殊な環境で負傷者を運ぶのはかなり大変。実際にやってみないと分からないことがたくさんあるので、経験することで今後につなげてほしい」と語った。
負傷者の対応については「トリアージは1次と2次がある。気になった点は1次のあと2次を行っていたが、1次トリアージで全負傷者と接触し(重症度の)色分けした上で赤の人から2次トリアージに移っていく。早さが大事である」と話した。


