心のサインに寄り添う社会へ 山本医師が兆候と対応語る 地域での気づき・傾聴・つなぎを
宮古保健所は16日、本年度宮古地区精神保健福祉普及月間の一環として、住民向け講演会「こころの声に気づくには~気分障害の理解とその対応、次世代の健康づくり副読本『こころのタネ』の活用について~」を同保健所で開催した。精神科医で山本クリニック院長・EAP産業ストレス研究所所長の山本和儀氏が住民向けに講話し、心の不調を早期に察知する視点や、地域ぐるみで支える体制づくりの重要性を訴えた。
県では11月を精神保健福祉普及月間に位置付け、精神障害の早期治療や社会復帰、自立支援、発症予防を目的とした取り組みを実施している。講演では「こころの健康とは何か」「沖縄県民のメンタルヘルスの現状」「気分障害の兆候」「学校現場の疲弊」「こころのタネを活用した次世代の健康教育」など多岐にわたり、実例とデータを交えて説明した。
山本氏は、うつ病に気づくサインとして「気力低下」「睡眠障害」「興味喪失」など11項目を挙げたほか、周囲が察知できる行動変化や自殺の危険サインも解説。「励ましは逆効果になる場合がある」「ストレスは観察・傾聴・相談につなげることで軽減できる」と述べ、日常的な見守りの大切さを強調した。
山本氏は「心の病は特別なものではなく、誰もがなり得る」と述べ、うつ病のサインや自殺予防の“気づき・傾聴・つなぎ・見守り”の重要性を強調。八重山地域の中学校で実施した「こころのタネ」特設授業の成果も紹介し、学校から始まる心の健康づくりの重要性を示した。
冒頭、山川宗貞所長は開会あいさつ(代読)で「精神疾患は特別な病ではなく、地域で暮らす多くの人が治療と生活を両立している。予防や回復には周囲の理解と協力が不可欠」と述べ、住民の支え合いを呼びかけた。
参加者からは「身近な変化に気づく視点を持ちたい」「子どもや同僚を支えるヒントになった」との声が寄せられた。


