税と社会保険の“壁”整理 伊良部商工会で年末調整研修
市伊良部商工会(奥浜剛会長)は14日、同商工会の研修室で「年末調整のしかた研修会」を開いた。講師にフォルテシア総合会計事務所の高瀬智亨所長を招き、2025年度の税制改正に基づく年末調整の変更点や実務上の留意事項を学んだ。参加した事業者らは改正内容に沿った正確な手続き方法を確認しながら、熱心にメモを取った。終了後、高瀬所長は会員事業者からの個別相談にも応じた。
本研修は25年度経営改善普及事業の一環。高瀬所長は、近年注目される「年収の壁」問題を中心に、税金と社会保険の仕組みを解説した。住民税の非課税ラインが100万円から110万円に、所得税の扶養基準が103万円から123万円に引き上げられたほか、所得税がかからない基準も最大160万円まで拡大することが説明された。また、社会保険の加入義務発生ラインとして106万円・130万円・150万円の各壁が整理され、特に19歳以上23歳未満の適用範囲が130万円から150万円に引き上げられる点が強調された。
続いて、年末調整の改正点では、基礎控除と給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の新設、扶養親族等の所得要件改正などが示された。特定親族特別控除では、大学生世代(19~23歳未満)の子どもを持つ納税者が年収123万円を超えても150万円までは控除対象となることが説明された。
また、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)では、「調書方式」の導入により年末残高証明書の提出が不要になるなど、事務負担軽減の仕組みも紹介。研修の最後には、「本年12月以降の改正により、新たな扶養親族が該当する場合は再提出が必要」と注意喚起が行われた。
高瀬所長は「改正点を正しく理解し、早めの準備を」と呼びかけ、参加者からは「実務で役立つ」「税制改正が分かりやすかった」との声が聞かれた。
研修後には個別相談の時間も設けられ、税理士による具体的な助言を受けながら、参加者が自社の実情に合わせた対応を確認した。


