講演を行う渕辺氏(左奥) =5日、市働く女性の家

女性の力で未来拓く 市女団協 渕辺氏語る所得・人材・未来

 宮古島市女性団体連絡協議会(猪子立子会長)は5日、市働く女性の家で沖縄経済同友会代表幹事を務める渕辺美紀氏を講師に招いた講演会を行った。講演は「宮古島の女性の未来を拓く~沖縄経済と女性力~」と題し、渕辺氏は現状課題は所得格差、労働生産性の低さ、子どもの貧困問題などを挙げた。将来に向けた課題の一つには女性活躍を挙げ、宮古島については「悩ましいことは若い女性の(島外への)流出度が高い」と述べ、地域一体で取り組むことを求めた。
 渕辺氏は鹿児島県生まれ。客室乗務員等を経て、1985年ビジネスランド設立、93年JCC設立。2012年南城市に禅を基調にしたホテル百名伽藍を開業し、オーナー兼総支配人を務める。18年から九州・沖縄の経済同友会で女性初の代表幹事に選任された。
 講演は2025年度おきなわ女性財団の講座等企画団体助成事業の一環で開かれた。
 渕辺氏は沖縄経済、子どもの貧困、女性の社会進出など幅広い内容で展開。沖縄経済については「(復帰後からの統計を見ると)観光収入は18倍になっているが、県民所得はほとんど変わらない。大変な問題であり、所得をいかに上げるかが課題。これを解決しないと豊かな沖縄経済にはならない」との考えを示した。
 子どもの貧困についても「5人に1人が貧困と言われている。子どもの貧困は親の貧困であり、どうやって所得を上げていくかも課題である」と述べた。
 将来に向けた課題には▽稼ぐ力の向上▽DXの推進▽人材育成、リスキリングの推進▽女性活躍・女性活用▽空港、港湾、道路等の社会資本の充実、強化―などを挙げた。
 人口減少、若い女性の流出には「環境を整備しないと(今後も)減っていく。そのために女性の目線が必要である」と述べた。さまざまな課題については女性団体などが共有し、地域一体で取り組む必要性を強調した。
 会場では同女団協の会員らが熱心にメモを取りながら耳を傾けた。講演後は質疑応答もあり、女性のさらなる社会進出へとつなげる活発な講演会となった。

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