沖縄メディアに中立的視点を要望 県内自衛隊関係3団体 「誤解なき理解へ冷静な報道を」
【那覇支局】県内の自衛隊報道を巡り、自衛隊関係3団体が4日、県庁内で共同記者会見し、県内メディアに対し冷静で中立的な報道を求める要望を発表した。沖縄県隊友会(古堅悟会長)、沖縄県自衛隊家族会(古門茂夫会長)、沖縄県自衛官募集相談員連合会(渡久山光宏会長)の3団体で家族会は代理で上田和守副会長が出席。自衛隊に関する一部報道が「批判的論調に偏っている」として、報道各社に対し「公平かつ中立的な姿勢での報道」を求める要望書を提出した。
要望書では、10月8日に県議会で可決された「自衛隊と隊員、家族に対する差別的な風潮を改める決議」に賛同した上で、近年の報道において自衛隊を一方的に否定的に描く表現や、当事者の意見を十分に紹介しない構成が散見されると指摘。「自衛隊員も特別職の国家公務員であると同時に地域の市民であり、命を懸けて国の安全や災害対応に尽力している。その姿が公正に伝えられず、誤解や不信を招いている現状を憂慮する」と訴えた。
具体的には、陸自宮古島駐屯地をめぐる報道で「市民恫喝(どうかつ)」といった断定的な見出しが使用された例を挙げ、「調査段階から自衛隊側を非難する印象を与える」と問題視。全島エイサー祭り(沖縄市)で一部団体が自衛隊の参加に反対した際、隊員や家族の声は報道されなかったことを挙げ「反対意見だけを強調し、地域社会で築かれてきた協力関係や交流の側面が軽視されている」として、「公正さを損ない読者に誤解を与える恐れがある」との懸念を示した。
要望書には①事実関係の正確な把握と中立的な表現②関係当事者の声をバランスよく紹介すること③自衛隊の社会的役割を正当評価すること―の3点を明記。あくまで「抗議ではなく建設的なお願い」との意思を示した。
連合会の渡久山会長は「自衛隊は特別職の国家公務員であり、同時に市民でもある」とした上で、「国防や災害対応など、これまで多くの場面で活躍してきた崇高な任務を担っている」と敬意を表した。
隊友会の古堅会長は「報道の自由は民主主義の根幹であることを十分理解している。だからこそ、影響力の大きいメディアにこそ事実確認と公平性が求められる」と語り、家族会の上田副会長は「自衛官の家族も地域社会の一員として暮らしており、子どもたちは学校で父母の職業を理由に偏見を受けることもある。報道の在り方が社会の理解に直結していることを忘れないでほしい」と訴えた。
報道陣からの質疑では、防衛政策の変化や安全保障環境の緊迫化で「自衛隊を不安視する声が上がっているのではないか」との意見や、陸自第15旅団のホームページ内に沖縄戦の牛島満司令官の「辞世の句」が掲載されたことへの見解を問う声が出た。
古堅会長は「南西諸島の防衛環境の変化により自衛隊の存在意義が注目されているだけで、任務遂行の姿勢は一貫している」と強調。上田副会長は「自衛隊員が一生懸命働いている現状を知ってほしい」と訴え、「是々非々で公正な報道を」と求めた。
渡久山会長は「自衛隊に対する意見はさまざまあるが、特定の声だけを取り上げるのではなく、公正で中立的な報道を心がけてほしい」と述べ、公平な報道姿勢を求めた。


