平良北部の課題の整理、共有をした =3日、市役所・大ホール

「地域と一体で課題解決を」 現場の声・要望を市政反映へ 平良北部の地域懇談会

 市平良北部を対象とした2025年度地域懇談会が3日、市役所で開かれ、同地区の自治会関係者と市の各担当課が地域課題について意見を交わした。嘉数登市長は「こうした地域懇談会を通して、市と地域が一体となって課題の整理と共有を進めることが大切。これを機に地域の方向性を確認し、より深い意見交換ができるようにしたい」と述べ、現場の声を市政運営にしっかり反映させていく考えを示した。
 狩俣地区からは、県道沿いの樹木や防風林の剪定管理、狩俣漁港のトイレ改修、狩俣小学校への遊具設置などが要望された。市は「今年度、市から業者への委託を予定していたが、10月15日ごろに県道を管理する宮古土木事務所の委託業者が、防風林帯を含む道路沿いの剪定作業を実施している」と説明。トイレ改修については「予算が確保でき次第進めたい」と答えた。
 大浦地区からは、空き家放置によるシロアリ被害や、地域の祭祀文化の保存・継承を求める声が上がった。市は「昨年度の実態調査をもとに、今年度は空き家所有者や相続人の特定、意向調査を進めている。管理責任は所有者にあり、市としては特定後に対応を促したい」と述べた。祭祀文化については「市内に900以上の御嶽があり、未指定文化財の管理は自治会や土地所有者が担っている。現状では新設や修繕を業務として行うのは難しいが、市史編さん事業を通じて地域文化の継承を支援したい」とした。
 一方、西原地区では、同地区での団地建設を求める意見があったが、市は「公営住宅の新設は国の予算が減少傾向にあり、本市はすでに県内トップの整備率。今後は旧耐震基準の建物の建て替えや改修で長寿命化を図る」と説明。また、防災無線が聞こえにくいとの指摘に対し、「音量調整などの対応を行うほか、スマートフォンやラジオ、防災アプリなど多様な情報伝達手段を周知していく」と応じた。
 池間地区からは、平良―池間間の中学生バス料金の半額化や、海岸付近での営業行為に関する要望が寄せられた。市は「営業は私有地内で行われており、海への自由な出入りは確保されている。池間島周辺の海岸は県の管理下にあるため、県独自の海岸管理条例の早期制定を要請していきたい」と説明した上で「自然環境と景観を守りつつ、開発とのバランスを考慮し、地域住民の意見を踏まえて土地利用の在り方を検討していく」と述べた。

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