景観シンポジウムのパネルディスカッションで意見を述べる嘉数市長(左から3人目)ら =市未来創造センター多目的ホール

「景観と経済は一体」同調 市主催シンポ 「宮古島らしさ」でも意見

 2025年度宮古島市景観シンポジウムが29日、市未来創造センター多目的ホールで行われた。「みんなで創る結いの島、宮古(みゃ~く)~これからの景観まちづくり~」のテーマで基調講演、パネルディスカッションで意見を交わした。パネリストは景観まちづくりと経済効果では「景観は経済にとって資源であり、豊かな景観を作っていくことが持続的な経済を担保していく」などの考えで同調した。
 景観シンポジウムは2部構成で、第1部は波多野想氏(琉球大学島嶼地域科学研究所副所長)が「自分ごととして考える文化的景観―台湾・金瓜石の事例を中心に」の演題で基調講演した。
 第2部のパネルディスカッションは、堀江佑典氏(エリアマネジメントラボ理事)をコーディネーターに宮古島市の嘉数登市長、池田孝之氏(宮古島市景観審議会長)、渕辺美紀氏(沖縄経済同友会代表幹事)、波多野氏がパネリストを務めた。
 パネリストは▽「宮古島らしさ」をどう捉えるか?▽景観まちづくりと経済効果▽地域価値向上について▽これからの景観まちづくりに向けて―で意見を述べた。
 景観まちづくりと経済効果では、池田氏が景観法を説明し、「観光振興が日本全体のベースになっており、それをしっかりやるために景観法という一つの技術的な法律ができた、景観と経済は一体であり、対立しているようなことが言われるが景観を守ることが観光振興になる」と述べた。
 波多野氏も「景観と経済が対立軸にあるとの考え方は脱却しないといけない。景観は経済にとって資源であり、豊かな景観を作っていくことが持続的な経済を担保していく」と述べた。
 また「景観は行政が整備するという考え方も転換していかないといけない。行政が景観法、景観基準は整備しサポートするが(住民は)自分ごととして地域の景観を整備していくべき」とも話した。
 嘉数市長は池田氏、波多野氏の考え方に同調し「景観と経済はお互いに補完し合い支え合うものだという認識を(来場者と)共有したい。宮古島には物質的なキャパと心情的なキャパがあると考えており、それを無視した形の開発は受け入れられない」との考えを示した。
 これからの景観まちづくりに向けては、それぞれがメッセージを寄せた。
 渕辺氏は「今だけでなく子どもや孫の世代までを含めて誇れる宮古島の将来をどう描くかが大事。魅力的な宮古島の街づくりを目指すべきであり、経済効果をどう上げるかも合わせて考えないといけない」と述べた。
 冒頭あいさつした嘉数市長は「皆さんの知恵や経験を持ち寄り、本市のこれからの景観まちづくりの新たな方向性を共有する貴重な機会となることを期待している」とあいさつした。

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