
揺らぐ民意、沈む投票率 第6回市議選 「誰がなっても同じ」と諦め
任期満了に伴う第6回宮古島市議会議員選挙が26日に投開票を迎える。前回(2021年)の投票率は67・92%だったが、今回も投票率の落ち込みが懸念されている。今年1月の市長選は58・99%、7月の参院選では46・65%と市民の選挙への関心低下が如実に表れており、各世代に聞くとその背景には「無関心」や「不信感」が色濃く浮かび上がる。期日前投票初日は第4回(17年)を上回ったものの、第3回(13年)初日の1627人には及ばなかった。
最終投票率では第3回76・60%、第4回71・73%と回を追うごとに低下傾向。期日前においては投開票当日までに全有権者に占める割合は09年の第2回31・15%、第3回31・81%、第4回31・71%で3割が続いた。前回はコロナ禍とはいえ29・86%と第1回以来の3割を切った一方、第1回は合併後初の市長・市議の同時選挙で関心は当然高く、最終投票率は85・86%だった。
選挙権を得たばかりの18歳高校生男子に聞くと「そもそも選挙について分からない。投票場所も知らない。家庭や学校で話題にすることもなく何も知らない」と語る。現場職に就く同年代の男性も「テレビで見る程度で内容も理解できない。候補者が同じことばかり言っているようで決められない」と投票をためらう。10代は選挙の仕組みや候補者像への理解不足が顕著で「誰が良いのか見極められない」との声が目立った。
20代では「政策が信用できない。子どもの未来を任せられる人がいない」と話す子育て中の女性(22)も。女性会社員(22)は「年寄りと観光向けの政策ばかり。近い将来、島外に出るつもりなので関心がない」と語る。主婦(28)は「観光ばかりで生活が苦しい層を見ていない」と不満を訴え、別の会社員女性(24)は「何度も選挙を重ねても生活が良くならない。誰がなっても変わらない」と諦めた様子をにじませた。
建設業の男性(22)は「投票には行くが観光ばかりで他職業者への配慮があるか疑問」とし、同業の21歳男性は「何度も選挙があったのに今の状態なら行かなくてもいい」と話した。若年層では「めんどくさい」「信用できない」との理由が多く、SNSで候補者の情報は得られるようになったものの、投票行動にはつながりにくい現状がある。
30代も「投票しても変わらない」という声が支配的だ。営業職の女性(31)は「身内が立候補すれば行くかも」と答え、観光業の女性(36)は「誰でも同じ」と投票意欲を失っている。建設業の男性(33)は「身内中心かつ、無理矢理連れていかれる投票で選挙の意味が薄れている」と嘆き、生活や子育てに追われ、政治に期待できないとの実感が広がる。
40代では「応援したい人がいない」「良くなる兆しがない」との意見が並んだ。飲食業男性(43)は家賃高騰の議論にも「持ち家で関係ない」と無関心。会社員女性(48)は「何度も投票したが年々悪化している」と諦めた様子だった。
50代でも「めんどくさい」「興味がない」と投票放棄の傾向が強い。建設業の男性(50)は「移住者や観光客だらけになって島はどうでもいい施策ばかり」と吐き捨て、54歳男性でさえ「周りが行くから自分は行かなくていい」と関心はすでに希薄のようだった。
一方で60代以上には「行かない人はいない」(63歳農業)、「自分たちだけでなく、子や孫たちにとっての未来を決める大きな意思表示だ」(70歳会社経営)との声もあり、世代が上がるにつれ投票行動は習慣化している。
投票率が世代間で大きく分かれる現実は、島の未来を考える上で避けて通れない課題。若者が選挙に関心を持ち投票所に足を運ぶには、より身近に語りかける、生活実感に寄り添った政策を示せるかが問われている。