宮古島市の魅力と課題を再確認し、方向性を考えるきっかけとした =市役所2階・大ホール

節目に描く未来像と課題 持続可能な島の道探る 市制20周年特別講演

 宮古島市は3日、市制施行20周年記念事業特別講演会を市役所で開いた。国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課長の星明彦氏が講師を務め「懐かしくて新しい世界を、世界の都みやーくから。」の演題で参加した市職員や自治会関係者、市議会議員らに向けて解説。過疎・過密の同時進行や若者の流出、物価高騰など地域課題に触れつつ、宮古島の未来像や「世界の中の宮古」の可能性を探る内容となり、質疑応答も交えて活発な意見交換が行われた。
 冒頭、市民生活部の狩俣博幸部長は「本講演が皆さんにとって有意義な時間になるよう願う」と述べ、砂川朗副市長は「課題と可能性を共有し、新たな視点やヒントを得る機会にしてほしい」と呼びかけた。
 講演は、▽宮古島市のこれまでとこれから▽「安心」と「未来」とは▽世界から見た「みゃーく」▽世界との好循環・域内好循環の補修・再構築―の流れで解説。少子高齢化や地域コミュニティの衰退など厳しい現状を踏まえ、宮古島の魅力と課題を再確認し、若者定住促進や地域活性化の方向性を市民・行政がともに考える契機とした。
 星氏は「観光収入や雇用創出などのプラス効果を地域人材投資や文化・産業に回し、物価高騰・環境負荷などのマイナス効果を防ぐ仕組みが重要」と指摘。サトウキビ依存から都市型近郊高付加価値農業への転換、域内循環型経済の確立、若者の教育機会確保などを提案した。
 また、宮古固有の文化「アーグ(歌)」を例に、「わずかなものを大切に分かち合い、世界の安寧を願う宮古島ならではの精神が未来の強い地域経済を生む」と強調した。
 星氏は東日本大震災を経て沖縄に移り住んだ経緯を紹介し、「沖縄は私にとって離れられない場所。地域の方々から大切なことを学んだ」と述懐。
 講演では人口推移や観光客数、社会増減のグラフも掲示。転出入や大学進学・就職を契機とする若年層流出、観光のプラス・マイナス両面の影響が示された上で、持続可能な宮古島の未来像を共有した。

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